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橋本愛「ダメでも良くても自分の責任ですから」

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「最初に、瀬田監督が『素に近い橋本さんを撮りたい』って仰ってくれたんです。これまで重たい役が多かったので、今回、柔らかな一面を撮りたいと言われたのが新鮮でした。私は素だともうはちゃめちゃなので(笑)、そういう自分の中の軽~い部分を表現するのはとても面白かったです」

『あまちゃん』以降、国民的女優として数多くの映画・ドラマで目にする橋本愛さん。でもオフモードの休日の彼女を観られるのは、本作がはじめてかも!?

 最新の主演映画『PARKS パークス』(瀬田なつき監督)は、吉祥寺の井の頭恩賜公園を舞台にした青春群像劇。橋本さんが等身大で演じる大学生の純が、高校生のハル(永野芽郁<めい>)や地元のトキオ(染谷将太)との出会いを機に、60年代のある恋人たちの記憶を、残されたラブソングの断片から探ってゆく。

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「芽郁ちゃんや染谷くんとは、真面目な話とかは1度もしなかったかな(笑)。自然な空気感で現場にはいってお互い台詞を吐いてみて、純粋にその場で感じたままに素直に動いていきました。どんなくだらない台詞をアドリブで言っても通じる現場だったので、自由でした。

 芽郁ちゃんのピュアな生き生きとした存在の横で、私はスッキリしないものを抱えつつ、でもどこか楽観的。彼女が表は陽で中身は陰だとしたら、私の役は一見陰にみえてじつはふざけた陽がたんまりある。そんな裏と表のような関係が面白かったですね」

 本作で橋本さんは、アコースティックギターを片手に歌を披露しているが、公園にまつわるこんな思い出が。

「公園って心落ち着く場所だなって思うんです。いろんな人が交差して、子どもがぽつんといると切なかったり、恋人たちの幸福のオーラに圧倒されたりもする。誰が何をしても許されるイメージがありますね。歌うのが好きだった私は、高校生のころ何を思ったのか、ギターをもって公園で弾いていたんです。誰に聞かせるわけでもなく。ある時カップルが見ていて、『こうやって弾くといい』って私に教えてくれたことがありました。今回、1年ぶりにギターに触って、やっぱり楽しいなと思いました」

 音楽祭のステージを前に主人公のぶつかった壁は、橋本さん自身の葛藤と重なった。

©2017本田プロモーションBAUS

「自分が認められないかもしれないという恐怖がものを作る楽しさより勝ってしまう状況は、すごくリアルでした。純にトラウマがあったように、私にも私のトラウマがある。それにどうすれば勝てるのか、手段はもう分かっているんですよね。アーティストは自分の体ひとつで闘っていかなきゃいけない。その本気度は私の中にもあります。ダメでも良くても自分の責任ですから」

はしもとあい/1996年熊本県生まれ。映画『告白』、『桐島、部活やめるってよ』などで注目を集める。その後、連続テレビ小説『あまちゃん』、映画『リトル・フォレスト』2部作、『バースデーカード』などに出演。2017年5月には映画『美しい星』の公開を控える。

INFORMATION

『PARKS パークス』
4月22日テアトル新宿、4月29日吉祥寺オデヲンほか全国順次公開
http://www.parks100.jp/

橋本愛「ダメでも良くても自分の責任ですから」

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