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山口 真弘
2017/04/14

新機能はまったくナシ! それでも新型iPadが“買い”なのはどんな人?

薄くも新しくもない新型iPadをテクニカルライターがオススメする理由

 Appleから新しいiPadが登場しました。薄型が売りの「iPad Air」シリーズでもなければ、ペン入力に対応した「iPad Pro」シリーズでもない、いわば“無印”のiPadは、2012年10月に登場した第4世代以来、久々のニューモデルの登場となります。

 Appleのタブレットである「iPad」シリーズは、初代の頃から全体のデザインはほぼ共通で、モデルチェンジのたびに薄型軽量化が図られてきました。しかし、今回のニューモデルは昨年3月発売の「iPad Pro 9.7」や、これまで現行モデルだった「iPad Air 2」に比べ、むしろ厚みは増しています(ニューモデルは7.5mm、iPad Pro 9.7/iPad Air 2は6.1mm)。機能的にも、目新しいものはまったくありません。

 それゆえ、今回の新しいiPadは、新しいモノを好むマニアにとっては、それほど注目される存在ではありません。しかし一般ユーザにとっては、この新しいiPad、まさしく“買い”だというのが、筆者の考えです。その理由について、入手したばかりの実機のファーストインプレッションと併せて見ていきましょう。

新しいiPad。9.7インチの画面はこれまでのモデルと共通

37,800円から手に入るリーズナブルさが最大の武器

 一般的に、IT関連の新製品は、新機能の追加によってハードウェアの設計が変わり、それに併せて外観もリニューアルされます。新しい機能を追加しない場合も、敢えてデザインをがらりと変えることで、ユーザの注目を集め、ニュースなどでの露出を増やそうとするのが常です。そのため、従来モデルがどれだけ評価が高く、故障率も少なく、生産の効率が良くても、ボディのデザインは定期的にモデルチェンジとなるのが普通です。

 しかし稀にそれをせず、従来モデルとはそれほど外見が変わらない新製品が投入されることがあります。その場合、考えられるパターンは主に2つあります。ひとつは不具合の修正。現行モデルに何らかの深刻な不具合があり、急いで後継モデルを投入しなくてはいけなくなり、デザインにまで手が回らなかったパターンです。

 もうひとつは、純粋なハードウェアの強化です。見た目の新しさに飛びつくユーザへの訴求よりも、製品の生産効率や故障の少なさを優先し、内部のハードウェアの強化に注力したパターンです。デザインが変わっていないため従来の金型を流用でき、また試験の工程も省略できることから原価が下がり、そのぶん価格を大幅に下げることも可能になります。結果的に、機能やデザインよりも価格で勝負する形になります。

32GBでわずか37,800円。過去に4万円台前半のモデルはあったが、いずれも16GBモデルだっただけに、この価格は驚異的

 今回の新しい「iPad」はまさしく後者のパターンで、新機能が詰まった最新モデルをいち早く入手して仲間に見せびらかしたいユーザにとっては、まったく物足りない存在です。しかし、純粋に使いやすさを重視し、コストを重視して製品を入手したい人には、ぴったりのモデルと言えます。というのもこの新しいiPad、32GBモデルでわずか37,800円(税別)と、過去のモデルの水準を大幅に下回るリーズナブルな価格で提供されるからです。

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