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連載近田春夫の考えるヒット

近田 春夫
2017/04/26

金爆の新曲「#CDが売れないこんな世の中じゃ」 彼らなりの考察が欲しかった

#CDが売れないこんな世の中じゃ(ゴールデンボンバー)/into the world(Kalafina)

絵=安斎肇

 かの超ヒット『女々しくて』から、はやもう八年である。気がつけばゴールデンボンバーに対する社会の認識も、あの――誰の目にも一発屋としか映らなかった――頃とは随分と違ったものになってきた。

 おそらくポジションとして“際物”であることその基本はずーっと揺らいではいまい。ただその“際物”としての世間の見方――扱いといってもいい――は変わった。

 いずれにせよ、この八年の歳月のなかでのいちいちの振る舞いが、彼らを風化から遠ざけたというのが私なりの見解なのだが、それもあながち全くの的外れではないと、そういい切れるぐらいの根拠は俺にもあるよ。

 何故といって、少し俯瞰してみれば、行き当たりばったりに映ることも多かった一連の活動にも、しっかりとした通奏低音は確認出来るだろう。そこに一貫して読みとれるのは――気配こそ殺してはいるが――実は“アンチの姿勢”なのではないのか? そのブレのなさに評価、支持も広まったと思うのだ。

#CDが売れないこんな世の中じゃ/ゴールデンボンバー(ユークリッド・ミュージック)同バンド19枚目シングル。1曲目無料も話題に。

 彼らの新曲のタイトルを知り嬉しくなってしまったのは、まさに俺の唱えた説を立証するかのように、かなり挑発的なものだったからである。

 しかし(くどいようだが)最近の新譜の九割以上、資料の封を切らずにこの仕事済ませちゃえてますぅ(笑)って。こんな業界で平気なのかね。

 閑話休題。

 この人たちの場合、やはり売りは“エアー”ということなので、まずは映像付きの音源からチェックを始めたところ、さすがといっていいのか、音と演奏(のフリよね?)の呆れるほどに見事なシンクロぶりに思わず笑って……もとい! 目を奪われてしまった格好の俺ではあったが、ところでひとつ気にかかることがあった。タイトルである。

 普通に読めばこれは、「このようにCDが売れぬような状況の世の中では……」といったことで、たとえば歌詞には“やってらんないよ”とかなんとかそんな答でも待っていそうだし、いわば、情けない“ボヤキ”のようなものと受け取って構わないのだろう。だがしかし一方では、「こんな世の中ゆえ、CDが売れない!」の倒置形という風にもとれる。そうなると話は違ってくる。それは強い意思のあらわれ、一種のプロテストである。そのふたつはまさに似て非なるものだ。

into the world/Kalafina(SONY)作曲家・梶浦由記プロデュースのボーカルユニット。NHK総合テレビ「歴史秘話ヒストリア」ED曲。

 一体どっちなのか? そんなことも気になって耳を凝らしてはみたのだが、残るのは「商売になっているのはただAKB関連のみだ」という指摘ばかりで、その波及するところ、あるいは原因いずれにせよ、彼らなりの見解/考察などはみられず、せっかくのテーマ? というに、聴き終わって期待ほどにスカッとした気分にはなれずじまい。うーむ……それだけがちと心残りな『#CDが売れないこんな世の中じゃ』ではありました。

 Kalafina。

 音楽に求める第一義を、透明感、清潔感などとする層には是非購入を勧めたい曲だ。

今週のフェイク「第三のビールがニセビールなら、アルフリはウソビールと呼んでいましたけど、ついにオレを満足させるウソビールが出ました! アサヒのドライゼロフリー。その“5つのゼロ”ってヤツ。相当のビール好きでも満足すると思うよコレ。朝から6本飲んでもまだいけるね」と近田春夫氏。「コツは口に含まず、ノドごしだけで味わうことです」

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