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河野 太郎
2017/05/07

文科省国立大「現役出向」241人リスト #2

問題は天下りだけではない。これが“植民地化”の実態だ

学会で看板と「記念撮影」

 現役出向者や文科省からの天下りOBが大挙して国立大学に押し寄せている割には、彼らが「本省との橋渡し」以上の役に立ったという話は聞きません。

 現役出向している事務方の幹部が活躍しているおかげで国立大学の研究環境は向上しているとか、文科省とのパイプを生かして、現場の問題点を吸い上げて業務を効率化したなどという事例は、私の知る限り皆無です。

 むしろ、文科省からきた事務方の指導の下、補助金を差配する文科省の顔色を窺っている大学事務局の話ばかり耳にします。現役出向している大学職員の多くは、研究者や学生の方を向いて仕事をしているとは思えません。文科省や会計検査院から指摘を受けないように、どんどん自主規制を進めています。

 その結果生まれるのが、実にバカバカしい“ローカルルール”です。

 例えば、購買分野。研究に必要な海外の専門書を研究費で購入する場合、インターネットで注文すれば数日で届きます。しかし、ある大学では「大学の指定業者を通して買いなさい」と指示してくるといいます。すると届くまでに1カ月かかる。文具にしても、隣のコンビニなら500円で買えるものが、指定業者を通すと2週間後に1000円の請求がくる。どれも法律や政令で決められているわけではありません。あくまで管理を強めたい大学の事務方が、自主的に定めた非合理的なルールです。

 学会への出張に関しては、とりわけ細かい規則の宝庫です。大学ごとに「始発で間に合う場合には、前泊は認められない」「特急列車を利用した場合は、改札で無効印を押してもらった特急券を提出すること」などと定められています。

 もっとも厳しいのは、過去にカラ出張による研究費不正請求があった東京工業大学。学会に参加したことを証明するために「隣に座った人と一緒に写真を撮る」、もしくは「学会の看板の前で写真を撮る」ことが義務付けられているそうです。この子どもじみた特異なルールは学会では有名で、最近は隣席の人に写真撮影をお願いしても、「あ、東工大の先生ですね」と応じてくれるのだとか。

 こうしたローカルルールや研究環境の効率化についての情報提供を求めたところ、研究者から山のようにメールが届きました。とにかくフラストレーションが溜まっているのです。文科省とやりとりしていても、こうした現場の声は入ってきません。

(#3へ続く)