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真魚八重子が薦める「ゴールデンウィークだからこそ観ておきたい映画3本」

2017/04/30

genre : エンタメ, 映画

note
黒澤明監督 ©角田孝司/文藝春秋

9時間を有意義に過ごせますーー『鉄西区』
(監督 ワン・ビン 2003年)

 中国を代表するドキュメンタリー監督であるワン・ビン。彼の初期作品の特徴は、とにかく長尺であること。本作はなんと556分! でもなんの予定もないGW中の日なら、この映画で9時間を有意義に過ごせます。中国の衰退していく重工業地帯である、鉄西区が舞台。劣悪な労働環境でも生きていくため人々は働きますが、しかし工場の倒産などで街は死にゆき、彼らの生活も変化を余儀なくされていきます。DVDもこの分量にしてはお安い!

今と変わらず心理にも食い込む治療ーー『赤ひげ』
(監督 黒澤明 1965年)

 わたしが『赤ひげ』がすごく好きだと言うと、たいてい意外そうな反応をされるんですが、よどんだ映画ばかり観ていると、定期的にヒューマニティーに溢れた映画でバランスを取りたくなるんですよ。江戸時代の診療所が舞台ですが、病はもちろん、貧乏や、精神を病む問題も取り上げられていて、今と変わらず心理にも食い込んで治療が行われるのが深いです。三船敏郎の自然に放たれる威厳と、男らしいゆえにぞんざいになる言葉もチャーミング。

GWの戒めとしてーー『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』
(監督 トッド・フィリップス 2009年)

 ぜひGWの始まりにこの映画を観て、大笑いしてテンションをあげてほしい。バチェラーパーティーに集まった仲間たちの一人が、イタズラ心でドラッグを酒に混ぜたことから、全員一夜の記憶がぶっ飛んでしまいます。気候の良いGW中には、飲み会の予定のある方も多いでしょうが、戒めとして観ておくのもいいかもしれません。でも、羽目を外して色々やらかしちゃうんだけど、それも終わってみれば楽しい人生の瞬間だとわかる、なにか愛しい切なさも残る映画です。

©平松市聖/文藝春秋
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