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連載近田春夫の考えるヒット

近田 春夫
2017/05/04

GWのさなかにTMの大ヒット曲「Get Wild」36連発を聞き比べる

Get Wild SongMafia(TM Network)

絵=安斎肇

 ゴールデンウイークだからゲットワイルドって! まぁ週刊誌などというものは昔からその何と申しますか、ちなめることがあるんならば積極的に何でもちなんじゃおうという……いや、発案をした担当の若者も、若干そのベタさ加減には照れてましたけどね。

 はてさて。そんな訳で今年のG.W.合併号は、話題騒然(よね?)! TM Networkといえばのあの大ヒットチューン、それが36もの別バージョンで楽しめるとかが売りの『SongMafia』とは相成ってしまったのでありました。

 ところで。編集から送られてきた資料を手にするまではこのパッケージ、様々なゲストによる夢の競演的なものかと、わたくし早とちりをしておりました。実際は4枚組のうち3枚までが本人達関連のリミックスやライブ音源なのだった。ですので、今回は分量バランスのこともある。まずディスク3までについて何かしら述べて、そのあと、紙幅に余裕があれば、他アーティスト音源のベストトラックはどれなのか的な流れにもなりましょうか?

 そこで、とりあえず陣容のチェックでもと考え、全トラックを一巡させているうちに、ちょっと試聴前に抱いていたのとは構成のイメージが変わった。聴けばやっぱディスク4、すなわちいわゆるカバーを集めた盤の方が断然面白いのである。ってホントは――勘違いとはいえ――36連発ってことで競作を楽しみにしてたんだからさぁ、こっちが本筋っちゃ本筋なんですけどね。とにかくそれらを聴いての話を中心に書きたくなってしまったのである(このディスクにもリミックスや単なる“歌のない歌謡曲”仕様の音源は入っているので、実質のカバーは10曲ほど)。

Get Wild SongMafia/TM Network(AVEX)TM Networkの代表作“Get Wild”の発表から30年。1987年のオリジナル“Get Wild”から2015年のライブバージョンまで、TM Network自身のアレンジを多数収録。その他ゲスト的に、作詞の小室みつ子、Clementine(クレモンティーヌ)など多彩なカバーを収録。Get Wildが青春の1ページにある者には堪らないアルバム。

 何が面白かったといって、なにせ全編『Get Wild』なのだ。故に、どれにもダンスすなわち四つ打ちのアレンジがほどこされている。のだが、例えばそれぞれには相当に違うキック(音質/音色、音量バランス)の解釈が確認出来る。

 それを聴き比べながら俺は――おそらく同じく人を踊らせることを目的とした、しかももともとが同一の楽曲だというのにである――ほんのちょっとしたセンスの違いが、こうも“受け手にもたらすフィジカルな興奮の度合い”に関与/影響してしまうものなのか! と、しみじみ思ってしまったのである。ハッキリいえば、踊る気になれるミックスとそうした気にはなかなかなれないミックスが、ここには歴然と同居していたのね。

 そのことをここまで実感させてくれるような企画は、実は今までありそうでなかったのではなかろうか?

 そのあたり、さすがフロアに精通するレコード会社エイベックスならでは、ということなのかもしれないが、今回の発売の裏の意図は、きっと、TKの借金を少しでも減らしてあげたい――MAX松浦の愛だね――ってことなんだろうなぁ。って別に誰にでもわかるわ、そんなこと(笑)。

今週の便利発明「尾籠な話だけど、快食快眠快便というぐらい、お通じについてはみんな関心が高いと思うんだよね。ウォシュレットのトイレがあるんだから、毎回出したものについて重さや成分を計測して、手許のスマホにデータを送ってくれる機能がついてもいいと思うんだよ」と近田春夫氏。「スキマ産業としてかなり有望と思うんだけど、どうよ?」

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