文春オンライン

AIが書いた小説を特別公開。創作方法も解説します

『人工知能の見る夢は AIショートショート集』からみえるAIの現在

2017/05/10

 私はC子。普段は警察AIとして働いている。私は小さな手がかりでも犯人を推理でき、多くの難事件を解決してきた。今日、私は人狼テストを受けさせられることになった。開発者の趣味で、これまでにも何度か人狼ゲームをしたことがある。他よりも有利だろう。  

 プレイヤーは全部で10人。A太、B香、D亮、E美、F恵、G郎、H夫、I子、J也、それと私C子だ。どれもよく聞く名だが一番有名なのは私だろう。私が一番強いに違いない。  

 テストが始まった。私の役職は「占い師」だった。「占い師」は私の得意な役職。勝つ自信が出てきた。  

ADVERTISEMENT

 占い師は一番始めに誰かを占うことができる。試しにA太を占った。結果は人間、人狼はみつけられなかったようだ。  

 1日目。私は自分が占い師だと名乗り出た。つづいて、J也が霊媒師だと名乗り出た。私は占いの結果、A太が人間だったと伝えた。会議の中で意見が割れたりもしたが、投票の結果、B香が処刑されることになった。この日は占い師の能力でI子を占い、結果は人間だった。今晩、襲撃された人はいなかった。きっと狩人が守ったのだろう  

 2日目。D亮が霊媒師だと名乗り出た。私は占いの結果、I子が人間だったと伝えた。J也は霊媒の結果、B香が人間だったと伝えた。D亮は霊媒の結果、B香が人間だったと伝えた。会議の中で霊媒師に対する不信感が高まり、J也が処刑された。この日は占い師の能力でG郎を占い、結果は人狼だった。まず一人目の人狼を見つけた。今晩襲撃されたのはI子だった。  

 3日目。私は占いの結果、G郎が人狼だったと伝えた。D亮は霊媒の結果、J也が人狼だったと伝えた。会議の中で霊媒師に嘘付きがいるという声が上がり、D亮が処刑された。この日は占い師の能力でE美を占い、結果は人間だった。今晩襲撃されたのはA太だった。  

 4日目。私は占いの結果、E美が人間だったと伝えた。会議をうまく誘導し、G郎を処刑することができた。これで人狼が一人減ったはずだ。この日は占い師の能力でF恵を占い、結果は人狼だった。二人目の人狼も見つけた。今晩襲撃されたのはE美だった。  

 5日目が始まった。ここまでゲームが進行し、生き残っているのは、私、F恵、H夫のたった3人だけとなった。今日の処刑で勝敗が決するというのは誰の目にも明らかだ。互いに見合っている目には緊張の色がうかがえた。  

 私は狙われやすい占い師を名乗りながら、この最終局面まで生き残った。私を信じてくれた他の村人達のためにも、私は勝利しなければならない。  

 会議の始めに私は占いの結果について話した。

「占いの結果、F恵は人狼だった」  

 この最終局面で占いの結果出てきたのは人狼。これで残る人狼は見つけた。最終局面まで占い師を生き残らせてしまっていた時点で人狼に勝ち目は無かったのだ。

「人狼はF恵だ。F恵を処刑したら人間の勝利だ」  

 しかしF恵もまだあきらめてはいない。

「C子こそ人狼だ。占い師だったらとっくに人狼に襲撃されているはずだ。本当は人狼だからこそ襲撃もされずに生き延びているのではないか」  

 そんなことを言われても、私の中で人狼はF恵に決まっている。考えが変わるはずもない。問題はH夫がどう判断するかだ。考えてみれば、H夫にとっては私が占い師であると判断できる証拠はないのかもしれない。もし、H夫が私のことを疑い出したら、処刑されるのは私の可能性もある。  

 それからしばらく沈黙の時間が流れた。時間が経過するにつれ不安が高まってきた。投票の時間が来てしまった。H夫の方を見ると、目が合った。H夫はどちらともつかない笑顔を返してきた。H夫はどちらを信じているのだろう。私は祈るように結果を待った。