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2020年「日本の姿」 各界の慧眼が見抜いた衝撃の近未来

三浦 瑠麗
2017/05/02

小泉進次郎が安倍総理の後継に――2020年「日本の姿」

source : 文藝春秋 2016年7月号

genre : ニュース, 政治

 東京が56年ぶりの五輪を迎える2020年、政治や経済、国際関係はどう変化しているのか。スポーツや芸能、メディアや医療の世界には果たしてどんな新潮流が――。各界の慧眼が見抜いた衝撃の「近未来予想図」。

 今回は国際政治学者の三浦瑠麗氏が、自民党のプリンス・小泉進次郎の行く末を予測する。

(出典:文藝春秋2016年7月号)

総裁選のキーマンとして、悪魔の選択を迫られる

 2020年9月、8年弱に及んだ安倍政権の後継を決める自民党総裁選が行われていた。18年の総選挙で圧勝した安倍総理は、1986年に中曽根政権が「死んだふり解散」での圧勝を理由に総裁任期を1年延長した前例を拡大解釈して、五輪を花道とする総裁任期の2年延長を勝ち取っていた。とはいえ、ここ数年は「五輪までもたせる」を合言葉に政権運営がされてきたのが現実だった。2度の先送りを経て消費増税はとうにお蔵入りとなり、景気対策の名の下に従来型の公共投資が続けられて財政は火の車、五輪後の市場は大混乱に陥っている。

 そんな中、総裁選のキーマン・小泉進次郎は選択を迫られていた。一方には、安倍総理の後継として史上最年少の39歳で総理の座を射止めるという道がある。だがその場合、安倍総理が戦後最強の宰相として院政を敷くことは目に見えている。もう1つの道は、総裁選への出馬を見送るという判断だ。その場合、一大勢力を築きつつある橋下徹率いる新生「維新」が政権の座に就く可能性がある。自民の既得権益を維持して個人の栄達を取るか、政策的にはほとんど同調している橋下の軍門に下るか、目の前にあるのは悪魔の選択だった――。

©郡山総一郎/文藝春秋

 これが、私が想像する20年9月の光景です。

 4年後においても自民党が日本政治の中心に位置している可能性は極めて高いでしょう。民主党政権の失敗で政権交代の機運は完全に無くなりました。各種世論調査や国政選挙の結果から明らかなのは、日本の有権者の7割程度は広い意味での「保守」であるということです。ここでいう保守とは、右翼的思想を持つ急進派からマイルドな構造改革支持層までを含みます。09年の政権交代は、構造改革支持層が自民党を見限って民主党に投票して実現したのですが、後継の民進党はそのことを理解できずにいます。20年に向けての民進党は社会党化しながら分裂を繰り返し、次第に存在感を低下させていくでしょう。

 他方で、私が橋下徹という政治家と彼が起こした「維新」という運動に着目するのは、彼が乱世に強いタイプだからです。しかも、有権者の7割が保守であることを前提とすると、日本における二大政党制とはすなわち保守系二大政党制です。「維新」は、保守的なイデオロギーを自民党と共有しながら「反官僚」、「地方重視」の改革政党として対抗軸を示し得る存在です。彼らが地盤とする関西に加え、例えば舛添都政の後継となって関東にも地歩を築いたとすれば、維新の勢いが全国的に高まる可能性があります。

 とはいえ、当座は自民党が日本政治の中心にあり続けるという前提で論を進めれば、ものをいうのは自民党内の力学です。それは一言で言えば、清和会の天下ということ。現在の派閥はかつてのそれではないと言われることもありますが、公認権と選挙資金を握る総裁派閥の権力は増しています。

 しかも、清和会の天下は1日にしてできたものではありません。過去5回の衆議院選挙のうち自民党が大勝した4回(03年、05年、12年、14年)はすべて清和会の総裁(小泉純一郎氏と安倍氏)の下で戦われました。

 20年時点の日本の政権が、事実上の安倍派である清和会の強い影響下にあることは確実です。当然、小泉進次郎の運命を最も大きく左右するのも、安倍総理ということになるでしょう。