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菅原 出
2017/05/10

イスラム国発のテロ 分類すると3つのタイプに

日本は「大量殺人型テロ」に注意せよ

 世界中で相次ぐイスラム国(IS)発のテロ。これらを分類すると3つのタイプに分けられる。さらにそこから日本で発生するテロの可能性を探ると、注意すべきテロの「型」が見えてきた。
(出典:文藝春秋オピニオン 2017年の論点100

 2016年は、過激派組織「イスラム国(IS)」の影響を受けたテロが、世界中に拡散した年として歴史に記録されるであろう。

©共同通信社

 主要なものだけでも1月14日にインドネシアの首都ジャカルタで発生した爆弾・銃撃テロ、3月22日にベルギーの首都ブリュッセルの空港や地下鉄で起きた爆弾テロ、6月12日に米フロリダ州オークランドのナイトクラブが襲撃された乱射テロ、6月28日にトルコ・イスタンブールの国際空港で起きた爆弾テロ、そして7月1日にはバングラデシュの首都ダッカで飲食店襲撃テロがあり、7月14日にはフランスのニースでトラックによる暴走テロが発生した。

 中東から欧州、アジアへ広がるこのテロの波は、やがて日本にも到達するのだろうか? 現在世界で頻発しているテロを大きな流れの中で整理・分類し、今後日本で発生する可能性のあるテロの脅威について考えてみたい。

タイプ1 ISからの帰還兵による「高脅威テロ」

 1つ目のタイプは、シリアやイラクのIS本体から帰還する戦闘員が起こすテロである。

 シリアやイラクのIS本体は、米軍などによる攻撃で縮小しているため、そこに住めなくなった外国人たちが自国もしくは隣国に移動してテロを起こしている。6月28日のトルコ・イスタンブールの国際空港でのテロは、そうした帰還兵が起こしたものであった。

 2015年11月のフランス・パリでの同時多発テロも、シリア帰りの帰還兵が起こしたテロだったので、このプロセスは2015年から始まっていたと考えるべきであろう。今後IS本体がますます縮小することで、危険な戦闘員たちが各地に分散してテロを起こすリスクがさらに高まるだろう。帰還兵は戦闘経験豊富で武器の扱いにも慣れているため、彼らの起こすテロの脅威レベルは概して高い。

 最近では、シリアやイラク、アフガニスタンなどで生まれ育ち、難民として欧州諸国に渡った後に過激化する、もしくはもともとテロ組織の戦闘員で難民を装って先進国に潜入してテロを起こす事例も見られる。

 7月24日にドイツ南部アンスバッハの野外コンサート会場の入り口近くで、27歳のシリア人難民が起こした自爆テロはこのタイプである。このテロリストは、IS指導部の直接的な指示を受けていた。