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安倍首相への不満を口にした二階幹事長、本当の狙い

自民党に少なくなった党人派 ©共同通信社

 安倍一強の下、イエスマンばかりが目立つ自民党で、二階俊博幹事長(78)が、節目節目で安倍晋三首相(62)に異を唱えている。

「いきなりですよ、いきなり」

 二階氏は4月28日の記者会見でこう述べ、自らの派閥に属する今村雅弘前復興相(70)を更迭した安倍首相に、露骨に不快感を示した。

 今村氏が失言したのは、二階派が開いた資金集めパーティの講演。この日は、新たに1名の加入が決まり、二階氏の権勢を見せつける場だった。二階派関係者が語る。

「二階さんほどのベテランが、わざわざ記者会見の場で、総理への不満を発言したのには意味がある。1つは、『どんなバカな奴でも子分はかばう』という姿勢を派閥メンバーに見せること。もう1つは、わざと怒りを見せることで、別件での“配慮”を求めたのでしょう」

 その別件とは――。

「小泉龍司、長崎幸太郎の両氏の復党問題です」(同前)

 2人は、前回衆院選で無所属で自民党候補を破り、当選を果たしている。二階派の特別会員であり、二階氏は自民党入りを認める意向だが、他派閥の反対でいまだ決着していない。実は、二階氏は今村氏更迭の当日、講演で復党問題についてこう吠えた。

「文句があったら私を幹事長の席から追い出してみろ」

 官邸関係者が解説する。

「今村氏の大臣更迭を呑んだ代わりに、こじれていた復党を認めろというサインです」

 二階氏といえば、自民党総裁の任期延長問題でも真っ先に賛成の声をあげ、幹事長になると「連続3期9年」に延長する党則改正を主導した。安倍首相が連休中に突如打ち出した憲法9条に第3項を付け加える形での改憲にも「積極的に支持し、協力していくことが当然だ」と応じた。

「安倍首相は、自らの意図を先読みする政治センスと、難しい案件をまとめる調整能力の高さは評価している。一方で、“要求”も多く、敵にまわすと厄介。いわば戦略的互恵関係なのです」(前出・官邸関係者)

 二階氏は5月14、15の両日、安倍首相の名代として北京入りする。中国の習近平主席が提唱する「一帯一路」会議に出席するためだ。

「『一帯一路』は欧州からアジアにまたがるインフラ建設が“本丸”。中国の投資額は500億ドル超で、二階氏がこれを見逃すわけがありません」(永田町関係者)

 安倍一強を最も謳歌しているのは、二階氏かもしれない。