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五輪の「政治利用」 小池都知事vs.官邸を新聞紙面で味わう

政治とは「セレモニー」なんである

2017/05/19

 政治とは「セレモニー」なんだなぁとつくづく思ってしまった一件だった。

「小池都知事、東京五輪『都外仮設設備費』500億円全額負担」(スポーツ報知・5月12日)

 の話題である。

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 都外会場のための仮設設備費をどうするのか?  先に仕掛けたのはこの人たち。

《千葉県・森田健作知事、神奈川県・黒岩祐治知事(62)、埼玉県・上田清司知事(68)が動いた。9日夜の首相官邸。3人が菅義偉官房長官(68)に打ち明けた。菅氏は「総理もお目にかかりたいと話している」と即座に首相に取り次いだ。》(スポーツ報知・同)

 知事たちが官邸に行くと、菅官房長官は「即座に」首相に取り次ぐのである。このくだり、各紙を読み比べてみると「報知」のディテールが上記のように最も生々しかったので引用してみた。

 すると、すぐさまこんな展開となる。

《安倍首相は、その場に丸川珠代五輪担当相を呼び「都の決定を待たずに国が調整する」ことを指示していた。小池知事の「全額負担表明」は、安倍首相の圧力に屈した結果のように映った。》(毎日新聞・5月12日)

《小池氏に決断を迫る「筋書き」を描いたのは、首相官邸だった。》(朝日新聞・5月12日)

 そして、安倍首相と小池知事の儀礼的な会談が行われたのである。