文春オンライン

夢と現実をつなぐ場所あゆみBOOKS小石川店を愛する理由

2015/11/28

genre : エンタメ, 読書

 あゆみBOOKSが好きだ。

 冒頭からストレートに表現してしまうけれど、「選書がいいよね」とか、「品揃え抜群」とか、「おしゃれ」とかではなく、何となく好き。価格は横並びだし、商品はどこで買っても同じものだし、「近くて便利」という以外は、好みの問題であって、特に理由なんかない。

東京ドームシティ。

 あゆみBOOKSは、東京近郊と仙台に十数店舗を展開する中堅書店チェーン。勤務先の近所にお店があったことから、通うようになって、20年ほどになる。田町店、五反田店、荻窪店、小石川店、出張で行った仙台で立ち寄った店もよかった。どの店も、落ち着いた内装、人文書からコミックスまでの「お、こんな本があるんだ」という発見のある品揃えという「あゆみBOOKSらしさ」がベースにあって、その上に各店舗で地域や広さに合わせて工夫した売場を作っている。

ADVERTISEMENT

 あゆみBOOKS小石川店は、東京ドームシティや文京区役所のある表通りから少し奥に入ったところ、近隣には、大学や公園、閑静な住宅街が控えている。

あゆみBOOKS小石川店。店頭ウィンドウには新刊や話題書が並ぶ。

 山田店長によると、チェーンの他店と比べても、客単価が高いのが特徴で、通常なら敬遠されてしまうような、3,000円、5,000円の単行本や写真集が比較的よく動く。特定のジャンルの専門書というよりも、幅広く人文・芸術分野で、知的好奇心を刺激するような本は、手に取ってもらえるとのこと。お客様にも知的な刺激のある店として認知されており、お店としてもそれに応えていくことで好循環が生まれているのだろう。

話題書のコーナー。大部の写真集や芸術書、人文書も並ぶ。

【次ページ】売り場を通じたコミュニケーション

関連記事