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日常に潜む非常事態「アニサキス」戦記と「足抜けコール」

「週刊文春」5月25日号 最新レビュー

2017/05/20

「足抜けコール」語呂合わせの充実 「サムイ・ハナレヨ」

 それにしても「#7119」というのは、なかなか覚えられそうもないのが難点である。

 そこそこの年齢ならば、いまだにツカサのウィークリーマンションの電話番号を覚えているに違いない。テレビCMで流れる「♪さんの よんよんまるまるわんわんわん ツカサのウィークリーマンション」のおかげである。やはり電話番号は語呂合わせくらいしてくれないと、いくら桁数が少なかろうとも、ちょっとやそっとじゃ覚えられやしないものだ。

 その点、語呂合わせの電話番号が充実しているので有名なのが「足抜けコール」(注)だ。各都道府県の警察の、暴力団組員の離脱の相談電話サービスである。何年か前のドラマ「ヤメゴク」の題材になったあれだ。

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「ヤメゴク」では「オーイニイサン・ヤクザ・ヤメロヨ(00123-893-864)」で、実際のものでは「ニイサン・サーハナレヨ(233-8704)」(岡山県警)や「シノゴノイワズ・クミサレ(451-9330)」(京都府警)など、「シノギは最近しんどいし、組の上納金もきついし、歳も歳だし、懲役いくの、ヤダなあ」などと悩める暴力団組員たちへ、カタギになる決断を呼びかける電話番号となっている。

©iStock.com

 ところが、だ。山口組総本部などをかかえる肝心の兵庫県警は、「サムイ・ハナレヨ(361-8704)」である。「寒い! 離れよ!」。これでは、シャブを打ってまずいことになっている者が、包丁を振りまわし、本人にしか見えない何かと戦っている際にくちばしった言葉としか思えないではないか。しかし一度目にすると忘れられないのは確かである。その点では見事である。
 
 さて、長田はその後、2泊3日の入院をし、「生魚を食べる際に気を付けることと医療保険の大切さ」を知るのであった。それらが何であるかは本誌を手に取っていただきたい。記事には検査のために飲み込んだ内視鏡が、アニサキスの痛みを忘れるほどの苦しみとあって、内視鏡未経験の筆者はそっちにびびってしまったが。

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(注)こちらを参考にした。https://twitter.com/guwk/status/403787661506129920

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