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【西武】衝撃的だった「1イニング6本塁打」の記憶

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/05/21
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本塁打は野球の魅力だ

 日本ハムが5月12日(金)に行われたロッテ戦(東京ドーム)で1試合7本塁打の球団タイ記録で大勝しました。そのうち6本が涌井秀章からのもので、映像を見ますとほとんどが真ん中周辺のタマで、フェンスギリギリ越えの打球でも、打たれた涌井も失投を認めるしかなかったでしょう。

 東京ドームが開場したのが1988年。外野のフェンスが高く両翼もタップリ100メートルありましたので、本塁打の出にくい球場と評されていました。たしかに、前年まで使用していた後楽園球場や他の球場と比較すると、そのような評価は当時としては納得できます。

 それが、時代の流れとともに今や本塁打の出やすい球場に「変身」してしまいました。別に球場が改装されたわけではありませんが、もともと左中間、右中間のふくらみがないので外野手が打球に追いついてもフェンスが「邪魔して」捕球できず本塁打になってしまうのです。まさに、投手泣かせ。

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 試合中、一番歓声が大きくなるのは本塁打のシーンでしょう。ソロからグランドスラムまで、走者の数によって1~4点入るのは野球の魅力です。私が子どものころ球場に足を運ぶと、ひいきのチーム(当時は南海)の勝ち負けもそうですが、やはり本塁打の素晴らしさ、打球を遠くに飛ばす凄さに感動したものです。観戦した試合の勝ち負けよりも「○○選手がホームランを打った」という記憶のほうが鮮明です。

「レオネット」を取り付けさせた1イニング6本塁打

 さて、1試合7本塁打も輝かしい記録ですが、私が目にした本塁打量産で忘れられないのが「1イニング6本塁打」。1986年8月6日に藤井寺球場で行われた近鉄対西武戦の8回の出来事で「8・6・8・6・8・6」と覚えやすい数字なのです。

 西岡良洋から始まって清原和博、石毛宏典、ジョージ・ブコビッチ、秋山幸二と続き、最後は大田卓司で締めました。もうお祭り騒ぎどころか、自分も乗り遅れないようにという選手の目がギラギラ輝いていました。安打でなく、本塁打狙いの。

 この試合、秋山が前の打席でも打っていましたので、チーム7本塁打。しかし、結果は9対9の引き分け。これで勝てないのも珍しいですよね。当時の藤井寺球場の外野は低いフェンスだけでしたが、翌シーズンから高さ2メートルほどのネットが取り付けられました。これを名付けて「レオネット」。近鉄の本拠地球場なのに相手チームの名称が付けられるほどこの1イニング6本は衝撃的だったのです。

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