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連載近田春夫の考えるヒット

近田 春夫
2017/05/31

若手ラッパー集団DOBERMAN INFINITYの動画に大興奮

絵=安斎肇

 CDを買うと限定で付いてきたりする、俗にいう“特典映像”の呼び名も今となれば様々だが、日本では当初は確か“プロモーションビデオ”の表記が一般的であった。

 いずれにせよ、そうしたものの出現、そして続くMTVの開局によって、商業音楽界にも異変は訪れたように思う。

 絵が音を牽引するカタチでの大ヒットが、次々と生まれ始めたのである。

 ただそれはあくまで海外の話だ。舞台をこの国に移しミュージックシーンを見渡してみた時、目をつぶるだけでお馴染みの光景が浮かんでくる――イエスの『ロンリー・ハート』、マイケル・ジャクソンの『スリラー』のごとく――ような作品、あるいはミシェル・ゴンドリー的な存在は……残念ながら未だ登場せず、が正直なところではあろう。

 そうした“国内状況”を見るにつけ、そもそもが、主である音源の制作費を越える予算も当たり前(どう考えても)という現実からして理不尽だし、そんなオマケを作る意味ってjpopの場合、今更どこにあるのォ? とかいって。

 おっと失礼! 今週も脱線の兆候が出てまいりましたが、ま、アイドルの顔見せ効果はともかく、和物にて映像の表現的印象が圧倒的に楽曲のそれに勝ったパッケージのためしなど、この連載を始めて以来、少なくとも俺の記憶にゃあ(多分ですけど)ねーよ。

 そこでこの、DOBERMAN INFINITYなる、若手ラッパー集団の最新シングル『DO PARTY』の話に入る訳であるが、何気なく見始めた動画(正しくはMV)の仕上がりが本当に素晴らしい。

『DO PARTY』/DOBERMAN INFINITY(トイズファクトリー)メキシコのグアナファトで撮影したMVを動画サイトで公開。

 何がといって、画質である。資料によればメンバー全員参加で、メキシコの町にて撮影されたものなのだそうだが、まさしくサイケデリックと呼ぶに相応しい、眼を見張るほどに度を越した解像度を実感させられる、気が遠くなりそうにカラフルな色使いやアーティフィシャルなシズル感に、これは一体どのような作業をもって完成させたのかと。思わず見入ってしまったのだ。

 タダで誰でも簡単に鑑賞可能だし、紙幅の関係もあり、細かい説明は省くが、ひとついえるのはこの曲、一度映像アリで味わうともう音だけでは物足りなくなってくる。そのようなケースはjpopでは本当に稀だということである。いい換えれば、ここでは絵が音を確実に一段高みに引っ張りあげている。これぞ特典映像の本懐(は使い方が違うかもですが)といってもいい。いやいや、和物にこんな興奮するなんて思ってもみなかった。

 名誉のために付け加えておくとこの曲、絵だけではない。マイアミベース風味の曲調がキャッチーでもあり、また不良の匂いは超リアル。エグザイル版湘南乃風といった趣もある、完成度の高い仕上がりのポップチューンである。

『サイハテアイニ』/RADWIMPS(EMI) 昨年大ヒットした『前前前世』と響きあうような歌詞内容のアクエリアスCMソング。

 即チェックされんことを心から願うものである。

 RADWIMPS。

 この歌詞の優しさ! そしてなんとも繊細なこと! こりゃ、女子受け間違いなしだ。

今週のCIA「テレビで北朝鮮の報道発表をみていると、“ミサイルは最高首脳部の決定により発射されるだろう”と連呼しているよね。これはさ、実は“全責任は最高首脳部=金正恩にあります”っていう裏メッセージをアメリカに発信しているんだと思うぜ」と近田インテリジェンス・エージェンシー。「Xデイの裁きに誰も巻き込まれたくないからね!」

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