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八木亜希子が語る「壊れた大人がいっぱいいた」バブルとフジテレビ

“テレビっ子”八木亜希子が語るテレビのこと #1

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「テレビはつまらない」「テレビ離れ」など、テレビにまつわる話にはネガティブなものが多い。

 しかし、いまなお、テレビは面白い!

 そんな話をテレビを愛する「テレビっ子」たちから聞いてみたいというシリーズ連載の4人目のゲストは、元フジテレビのアナウンサーで、現在はフリーとして活躍する八木亜希子さん。

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 報道や情報、音楽、トーク、バラエティ番組はもちろん、朝ドラや大河といったドラマまで、あらゆるジャンルのテレビ番組に出演している「テレビの申し子」と言っても過言でない存在です。

 そんな八木さんに、まずは子供の頃のテレビ体験やアナウンサーになるまでの話を伺いました。

『翔んだカップル』のエンドロールでやってた「NG集」が大好きだった

 

―― 子供の頃って、テレビって好きでしたか? 

八木 このシリーズの記事を前もって読んでいたので、その質問くるんだろうなって思って考えてたんですけど(笑)、私が子供の頃は、好きとか嫌いとかそういう概念すらなかったんです。当たり前のようにテレビを見る。一家団欒の中心にテレビがあって、父が阪神ファンだったから、夏のゴールデンタイムはずっと野球がついている。『ザ・ベストテン』(TBS)の時間になると、兄も姉も好きな歌手が違ったから、それぞれ応援したり。姉が絵がうまかったからジュリー(沢田研二)をハガキ10枚綴りで大きく描いて、番組で紹介されてワーッとなったり。それが普通の光景でしたね。

―― クラスではテレビの話とかってしてましたか? 

八木 テレビの話しかしてなかったです(笑)。スポーツも含めて、テレビで前の日に見たいろんな話でみんな盛り上がってましたね。休み時間になると、クラスの中のビューティ・ペアだとかピンク・レディーが現れて、みんなで歌う。あとは漫画ですよね。小学生の頃は「じゃあ私は『なかよし』買うから、あなたは『りぼん』」って、みんなで月刊誌を回し読みしたりしてましたね。高校ぐらいまではテレビが中心でした。

―― 特に好きだったテレビ番組とかってありますか? 

八木 子供の頃は、やっぱり『ベストテン』。あと、今でも鮮明に覚えているのは『翔んだカップル』(フジテレビ、1980~81年)っていうドラマです。確か映画では鶴見辰吾さんと薬師丸ひろ子さんだったんですけど、それがヒットしてドラマでもやったのかな? その時、エンドロールにNG集が付いてたんです。初めてNG集っていうのを見たのがその瞬間だったと思うんですけどそれがすごく面白くて。

―― 『NG大賞』って、フジテレビが一時期よくやってましたよね。

八木 その先駆けだと思います。それはすごく印象深いですね。あと、『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日)の「クロ子とグレ子(小堺一機・関根勤)」が大好きだったんですよ! だからなんかオマケが好きだったのかもしれないです。オマケって言ったら「クロ子とグレ子」に申し訳ないですけど、番組では前座が終わりでお客さんをあたためるような役回りでしたよね。隅々まで得する感じが好きでした。

―― アナウンサーになろうと思ったきっかけは何だったんですか?

八木 就職試験のときに心理学専修だったんでマーケティングとかそういう方向の会社とか、ミュージカル研究会もやっていたので、エンターテインメント系の会社がいいなって思ったんです。それで、当時としまえんのCMがすごく面白かったり、東京ディズニーランドがオープンしたばかりだったりして遊園地の企画をやる会社に行きたいと思ってたんです。その延長で、マスコミとかテレビ局も受けてみようって思ったんですけど、どちらかと言うと記念受験に近かったんです。それでマスコミセミナーに行ったら、いろんな先輩が講演に来てくれるんですよ。その中でニッポン放送のアナウンサーの方が「アナウンサーはいろいろな人に会えて、インタビューできる仕事だ」って話しているのを聴いて、心理学にも通じるのではないかって思ったのがきっかけですね。

―― アナウンサーという仕事に対するイメージはあったんですか?

八木 全然。露木茂さんと露口茂さんがごっちゃになってたぐらい(笑)。「なんで山さんがアナウンス室にいるんだろう」って。

―― あははは。全局受けたんですか?

八木 TBSはスポーツアナウンサーしか採ってなかったので、TBSは受けず。で、テレビ朝日は試験が遅かったんです。その前に、当時は日本テレビとフジテレビが早めに春セミナーみたいなのをやってたんです。だから、まずは日本テレビ、フジテレビを受けたんです。そうしたら、日本テレビに落ちて、フジテレビで受かったので、じゃあもういいやって、あとは受けなかったんです。