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森岡 英樹
2017/06/05

東芝劇場は終わらない “法的整理”の可能性も浮上

綱川智社長は医療機器部門出身 ©共同通信社

 混迷を深める東芝問題。ここにきて、法的整理の可能性も出始めた。

「東芝は今年3月期で約5400億円の債務超過に陥っている。稼ぎ頭の半導体事業を売却し、エネルギー事業とインフラ事業の会社として再生する計画です」(経済部記者)

 再生計画を陰で仕切ってきた経産省は、半導体の技術流出を警戒。中国と関係の深い鴻海を排除し、米ファンドに産業革新機構や日本政策投資銀行が相乗りする「日米連合」に東芝メモリを買わせるプランだった。

 しかし、東芝と協業しているアメリカのウェスタンデジタル(WD)が待ったをかけた。WDは、東芝の事業売却差し止めを求めて、国際仲裁裁判所に仲裁申立書を送るなど、対立は激化し、着地点は見えない状況だ。

 そして、ついに経産省から「法的整理やむなし」の声があがり始めたという。

 金融関係者が解説する。

「ブラフでしょう。担保を巡る思惑の違いから、取引金融機関の足並みも乱れ始めている。自分の利益ばかり主張する金融機関やWD、浮き足立つ東芝経営陣へ活を入れるために、経産省から『法的整理』との話が出たのではないか」

 こうした“プレッシャー”を受けて、強硬だったWDが日米連合への合流を検討するなど、軟化の兆しも出始めた。しかし、WDがすんなりと日米連合に合流できるかは予断を許さない。東芝と協業関係にあるWDによる買収は各国の公取との調整が必要だ。このため売却時期が先送りされかねないとして日米連合はWDが入ることに強硬に反対してきた経緯があるためだ。

 さらに、信用調査機関の幹部が明かす。

「売却交渉が長引く中、東芝メモリの受注が急速に減少し始めている。東芝メモリの信用は、日々毀損しつつあり、取引先も警戒感を強めている。経産省によるブラフだった法的整理が、疑心暗鬼が広がった結果、現実化してしまう可能性もあるのです」

 実は、法的整理を歓迎する動きもある。

「既存債務や複雑な契約を一挙に解消することができる。東芝メモリも3~4兆円の高値で売却することもできよう」(海外投資家)

 瓢箪から駒となるのか。東芝劇場はまだ終わらない。

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