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「逃げる」ように転職するのは恥じゃない

カネなし、カレなし、コネもなし。30オンナの脱力系転職活動記

2017/06/01
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 転職活動を始めて2ヶ月。国内の企業を立て続けに落とされて、海外の求人に目を向けている――。そう書いただけで、いろいろな反響をいただきました。

 国内で転職活動がうまくいかなかったからと言って、海外に逃げるなんて甘い! とお怒りの向きもあるでしょう。ごもっともです。私だって、我がことでなければ自分のことを「行き当たりばったりで、何にも考えてないクズ野郎だな」と思います。と言うか、我がことながら半ば本気であきれています。

 でも、私は逃亡することに決めたのです。あらゆるものから。

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自分を甘やかせるのは、自分しかいない

 全国紙の記者として働いた5年。たった5年ですが、根がグータラな自分にしてはよくやったと思います。

 ですが、自分のキャパシティー以上に働いてしまったのか、気づけば休みの日には疲れすぎて、起き上がれないのが当たり前になっていました。

 さらに、24時間365日社用携帯を肌身離さず持ち、風呂に入るときには浴室前に置いて、髪や体を洗うたびに確認するような生活の影響か、電話やメールの着信音の幻聴が聞こえるようになっていました。携帯が震えた気がして、何度も何度も確認してしまう日々が続きました。

©iStock.com  画像はイメージ

 グータラのくせに「特ダネ記者でもないんだから、現場にいつでも一番乗りする気概ぐらいは持っておこう」と、気負いすぎていたのかもしれません。そうして、勝手にすり減っていったと言われればそれまでです。

 自分で選んだ仕事です。誰に強制されたわけでもない。それに、仕事自体は楽しくて充実していました。天職だと思ったこともありますし、言われたこともあります。

 それでも、休みの日に身体がだるすぎて、ベッドから一歩も出られないなんて生活、おかしいんじゃないか。ふと、ある時気づいたのです。 

 そんな風に、ちょうどいい塩梅がわからず、自分で過剰に働きすぎて、勝手にすり減ってしまったわけですが、そうやってすり減ってわかったことがあります。

 自分を守り、甘やかせるのは自分しかいないということです。

 仕事柄、過労死、過労自殺、亡くなるまでいかなくても、病気になるなどして働けなくなったという話を耳にすることがありました。

 会社はお金で補償してくれるかもしれません。ですが、健康も命も、失ってしまってから取り戻すことはできません。

 私は、そうなる前に自分を甘やかそうと思いました。

 こればっかりは、どんな誹りを受けても気にしません。究極的には、自分以外誰も自分を甘やかしてくれませんし、自分の健康や命を守れるのは自分だけです。

 だから、私は自分の健康や命のためなら、あらゆるものから、そしてどこへでも逃亡します。胸を張って楽な方に逃げます。

「逃げるは恥だが役に立つ」と言いますし(ドラマは見ていないけれど)。

キヨシマの転職活動メモ
一、「逃げるは恥だが役に立つ」。健康や命のためなら逃げの転職しようぜ。