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【中日】夢の球宴を“感謝の球宴”に チームを去った彼らに御礼が言いたい

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/06/02
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しっかりと彼らに御礼を言いたい

 メインイベントにはとっておきの腹案がある。是非とも中日球団に実現して頂きたいのだが、はっきり言って実現困難かもしれない。しかしもし願いを叶えることができれば、ドラゴンズファンが狂喜乱舞するのは間違いない。それは落合博満元監督、谷繁元信前監督、川上憲伸、井端弘和両元選手たちの正式なる退団セレモニー。

 お祭の場で退団挨拶というそんな辛気臭いイベントは相応しくないことは重々承知の上。ファンへの近況報告、ただ単なる顔見世でも問題はない。また何も洒落た言葉や演出は要らない。ただ単純に、突然ファンの前から消え、何もメッセージを残せなかったレジェンドたちの元気な声を聞き、姿を見せてもらい、ファンとして長年中日ドラゴンズに貢献してくれた御礼をしっかり言わせてもらいたい、ただそれだけなのだ。

 任期満了とはいえ、無言でチームを去った落合氏(体調が戻ればもう一度采配をふるってくれることは可能かい?)、志半ばに休養という形でドラゴンズのユニホームを脱いだ谷繁氏(谷繁チルドレンのキャッチャーたちにアドバイスはないかい?)、自由契約で追われるようにチームに別れを告げた井端氏(ドラゴンズ応援番組でもらった金の便座は今でも使ってる?)、そして今年始球式で投げ、その際どさくさのように花束をもらい形だけのセレモニーで終わっている川上氏(早く投手コーチとして戻ってきてよ!)、皆どれだけドラゴンズの為に粉骨砕身してくれたことか。このまま御礼も言えないままでは死んでも死に切れないと思っている熱烈なファンは多いはず。

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今年1月に退団した元GMの落合博満氏 ©文藝春秋

 まぁ、一堂に集まれば、4人の中には内心いまさらなんだよと、快く思わない人もいるだろう。が、そこはファンのためにと大人の対応で名古屋に錦を飾ってもらいたい。そして今まで思いのたけを口にできず、わだかまりだけが残った人には全てを解消する良いチャンスではないか。今、井端氏は巨人コーチの身分、セレモニーの場に登場可能なのはオールスターブレイクのこの時しかあるまい。

 この御礼が叶えられた時、多くのファンは喉元に刺さったトゲが取れ、今以上にドラゴンズ愛を成就することができる。あらためてこれからもずっと応援できるチームであると信じることができる。口には出さないがこのセレモニーはファンにとってまさに悲願であり大願。だからこそドラゴンズ愛を標榜している今年、球団としては是非期待に応えて欲しい。映画『フィールド・オブ・ドリームス』ではないが、ドラゴンズが根回しをしっかりしてくれれば、彼らはやってくる。まだ一ヵ月半の時間が残されている。今年のナゴヤドームはオールスターゲームを夢の球宴から感謝の球宴に。そんな記憶に残るひと夏のイベントにして欲しいと切に願うばかりだ。

※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/2779でHITボタンを押してください。

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