昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

【楽天】野茂英雄を超えた奪三振アーティスト・則本昂大

文春野球コラム ペナントレース2017

則本昂大がエースになった瞬間

 皆さん! やりましたよ! うちの則本昂大がやりましたよ!

 6月1日の巨人戦で、あの野茂英雄さんの記録を26年ぶりに更新する7試合連続二桁奪三振の日本新記録を達成いたしました!

ばんざーい!
ばんざーい!
ばんざーい!

 思えば2013年に新人ながら開幕投手をつとめ、終わってみれば田中将大投手に次ぐ15勝をあげ新人王&チームを初の日本一に導いてくれました。しかし翌年にエースの田中マー君が海を渡ると、突如エースの看板を一人で背負うことに……。

 夏には1ヶ月半も勝てずに星野監督から突き放された事もあった。しかし中継ぎを経験する事で腕を振る事をあらためて勉強し、8月15日のロッテ戦を1安打完封勝利で飾り、完全復活をはたす。お立ち台ではファンの声援に声を詰まらせ涙した。僕はあの涙を見て、昔どっかの歌手が言ってた言葉をふと思い出した。

「プロのミュージシャンとは? ただ素人がむちゃくちゃ努力しただけだよ」

 周りからエースと呼ばれ必死にもがいた大学5、6年生がエースになった瞬間だったようにも思う。そしてその年、田中マー君を越える球団新記録のシーズン7完封勝利を成し遂げたのだった。

7試合連続二桁奪三振の日本新記録を達成した則本昂大 ©文藝春秋

ホームランアーティストならぬ奪三振アーティスト

 2015、2016年は勝ち星と同じぐらい負けたが、奪三振は増え続け、3年連続200奪三振&奪三振王を獲得する。ホームランアーティストならぬ奪三振アーティストと呼ぼうではないか。

 そして今シーズンはWBCでの出遅れはあったものの、5月10日には球団新となる4試合連続二桁奪三振をやってのけ、僕はそこで初めて野茂英雄さんの日本記録まであと2つという事を知る。

 5試合連続がかかった試合は岩手県盛岡市の岩手県営野球場での日本ハム戦、なんと初回に5点を失うもすぐさま2回に6点とって逆転! これ完全に則本投手に向けての楽天イーグルスの伝家の宝刀Dパワー(誰かのために何かしてあげたいパワー)である。(わからない方は一個前の僕のコラムを読んでくださいねっ)

 立ち直った則本投手はこの試合も7回投げて12三振を奪い記録継続! そして、とうとう野茂さんに並ぶ6試合連続二桁奪三振をかけ、ほっともっとフィールド神戸でのオリックス戦を迎えた。

 この試合は生で観ておかないと、と神戸まで足を運んだが、客席は空席を除けば満席状態のまさかのガラガラ。何でや!? でもそんな事はどうでもいいのだ。則本の日本タイ記録を見届けるのみ!

 ただこの日は7回終わって7個。ちょっと無理かなぁ、とも思った。しかしそんな心配をよそに8回、粘る駿太、西野を連続三振に仕留め、気づけばあと一つ。外野席をみるとKのボードが9つかかげられている。思わず人差し指を天に突き上げ、あと一つを祈った。

あと一つのアウトを祈る様子 ©かみじょうたけし

 ワンボールツーストライクからの四球目、中島宏之のバットが空を切る。日本タイ記録が達成された! ヒーローインタビューではチームの勝利への喜びと8回もマウンドに上がらせてくれた監督、コーチへの感謝を口にしていた。