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介護の『目標』を定めて自立した生活へ道筋を付ける

【高齢者住宅・介護特集】第2部 在宅介護編

第1部 施設介護


要支援・要介護認定を受けてからも、できるだけ我が家で過ごしたい。思い出ある自宅で親が暮らせるようにしてあげたい。そう思うなら、自立した状態をできるだけ長く保つ試みが重要になる。

同じ要介護度でも生活機能の状態は異なる

「この先、我が家の介護は大丈夫だろうか……」。そんな不安を感じる家庭は、きっと少なくないだろう。年とともに体力が衰えれば、思いどおりに体を動かすのは難しくなっていく。しかし、だれもが同じように機能低下していくわけではない。閉じこもりがちになって体力が低下していく人もいれば、体の機能を維持しながら生活している人もいる。

 その分かれ道となっているのが、日々の介護のあり方だ。生活に必要な体の機能を維持・回復させるうえでは、当然ながら日々の暮らし方が重要になる。家族が食事や入浴、トイレなど生活のすべての面倒をみる介護は、介護にあたる人の負荷が大きく、丁寧なケアをするだけの余裕も生まれない。介護を受ける方も体を動かす機会が少なくなるため、いっそう体が弱っていく。

「家族の介護に他人の手を借りるのは抵抗がある」と感じる向きもあるかもしれないが、介護の悪循環を防ぐには、やはりプロの助言を受けながら、外部の介護サービスや介護用品を利用していくべき。それが家族の負担軽減と本人の生活復帰につながっていく。まずはケアマネジャーに相談してみるのが近道だ。「足元はふらつくけれど、一人でお風呂に入れるようにしたい」など、どんな生活を送りたいのかという『目標』が明確だと、納得のいくプランを立ててもらいやすい。

 

下肢の筋力を付けて自力排泄へつなげる

 機能回復を考えるうえで、とりわけ重視されているのが、下肢の筋肉の強化である。なかでも、座った姿勢を維持できるか否かは生活の質に関わってくる。顕著に影響が出るのは、トイレだろう。便座に座ることができれば、自力での排泄に道が開ける。排泄は人間の尊厳にかかわる行為であり、その成功は意欲を引き出す大きな足がかりとなる。

 排泄ケアが難しいのは、食事や入浴と異なり、本人の意思ではコントロールできないからだ。それゆえに排泄は計画的な介護がしにくい。おむつなども使いながら、できるだけ自力排泄に近づけていくことが重要だ。紙おむつは、寝たきりであればテープ型が取り替えやすいが、自分で立ち座りができる人であればパンツ型がいい。トイレでの脱ぎ着も楽になる。

 近所に介護用品を販売している店がなかったり、消耗品の補充が大変な場合は、介護専門の通販サービスを利用すれば手間が省ける。かさばるおむつや重たい飲料なども自宅まで運んでもらえる。

 今や介護はどの家庭でも考えるべき課題となっている。しかし同時に、在宅介護を支えるサービスや介護用品も進化している。それらをうまく使うことで、我が家の介護も変わっていくはずだ。

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