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松本 博文
2017/06/18

東大に女子が入らない理由 #2

同じ偏差値だったら地方の医学部へ。東大は関東のローカル大になった

関東出身者60%、女子比率19%――地域・男女比の偏りという課題を抱える東京大学。昨年、東京大学は、地方で東大を受験する機会に恵まれにくい女子にアピールするため、女子学生の「3万円の家賃補助」を発表した(#1参照)。なぜ東大に女子学生が増えないのか。その理由の一つには、地方に根強く残る「価値観」がある。(出典:文藝春秋2017年6月号「50年後のずばり東京」・全3回)

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女が勉強してどうする

「家庭の収入と学力は比例します。それに、地方出身者にとっては、未だに東大はハードルが高い。女が勉強してどうする、という価値観は根強く残っているんですよ」

 そう語るのは、東京大学のOG同窓組織「さつき会」の幹事、大里真理子さんだ。1961年に結成された「さつき会」は、定期的に会報を発行しているほか、卒業生が集まって交流する機会を作ったり、地方出身の女子を対象に独自の「さつき会奨学金」を支給したりと活発に活動している。50周年を迎えた2011年には、卒業生を対象に大規模なアンケート調査も行っている。自らも地方出身であり、長年女子学生を見続けている大里さんの言葉は真実だろう。

 大学の調査を見ても、在学生の家計支持者の年収で最も多い層は1000万円前後。都心の大学を卒業した父と、専業主婦の母で構成される、東京かその近郊のアッパーミドルクラス以上の家庭で生まれ育ち、私立進学校の出身、というのが典型的な東大生のモデルである。

 自らが経験した地方学生との差を語るのは、16年に東大文学部を卒業した桜雪さんだ。

「朝4時に起きて、地方から新幹線で予備校の東大コースに通っている子は、気合が入っていました」

 東京学芸大学附属高校在学中に東大を目指し、「東大受験生アイドル」としてブログに受験生活をつづって、話題を呼んだ。現役時は不合格に終わったが、周囲も浪人する受験生が多かったので自分も浪人を決め(これも有名進学校の特徴ともいえる)、文IIIに合格。現在は地下アイドルグループ「仮面女子」に所属している。

「高校の同級生も東大に多く進学しているので、入学しても意外と世界が狭くて驚きました(笑)。試験の情報なども、現役で合格した同級生に聞けるので助かりますね。地方出身の女子は、あまりいなかったかな……。3万円補助のニュースを聞いたときは、地方出身の女子が増えたほうが、多様性が生まれるのでいいと思いました」

 東大女子ほど、その容姿についてとやかく言われる対象も、そうはないのではないだろうか。

 駒場キャンパスの生協書籍部で、レジの前の目立つコーナーに『東大美女図鑑』という冊子が販売されている。2016年11月発行の第6巻が最新で、全ページ「東大美女」が合計30人掲載されている、カラーグラビア誌だ。値段は1500円と決して安くはないが、よく売れているようだ。

 1989年に発行された『東大卒の女性』(さつき会編)のなかで、先輩の東大女子はこう著している。

「下世話な話になりますが、女子東大生について語るとき世間は必ずその容姿を話題にしたがります。しかも必ず、『天は二物を与えず』論にもとづいて」

「某女子大学に美人が多いのは、その女子大学の構成員がすべて女子学生から成り立っているからなのです。美人の出現率において、女子大も東大もちがいはないはず」