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安倍・二階が無視できない“公明党の越後屋”こと漆原良夫とは何者か

安倍首相にもたびたび苦言 ©共同通信社

「なぜ再調査しなくていいのかは、官房長官の口から国民にわかるように説明してもらうことが望ましい」

 文科省の「総理のご意向」文書を巡り、8日の記者会見でこう発言したのが公明党中央幹事会会長の漆原良夫氏だ。翌日には再調査が決まる流れを作ったこの御仁、実は公明党内では隠然たる実力の持ち主なのだ。

 漆原氏は72歳。新潟県出身で上京すると、住み込みで新聞配達をしながら、明治大学を卒業し、弁護士となった苦労人だ。

「衆院の北陸信越ブロックは公明が強いとはいえない地域だが、1人は当選させる力はある。1996年以来、漆原氏の指定席だ」(公明党関係者)

 永田町で名を馳せたのは大島理森現衆院議長が自民党国対委員長だった当時、カウンターパートとして会合を重ね、親密な関係を築いてから。お互い、いかつい顔の大島氏を「悪代官」、新潟出身の漆原氏を「越後屋」と呼び合う仲に。だが、実は漆原氏は、その前から支持母体の創価学会では知られた存在だった。

 2003年に市川雄一元書記長が政界を引退して以降は、当時の秋谷栄之助会長や、同じ弁護士である八尋頼雄副会長ら学会の古参幹部との実質的なパイプ役だったためだ。

「今の公明党の2トップ・山口那津男代表、井上義久幹事長と自民党の安倍晋三首相、二階俊博幹事長はケミストリーがあわず、意思疎通がうまくいかない。そのため菅義偉官房長官が創価学会の佐藤浩副会長と気脈を通じてきたが、最近は学会・党の双方に『佐藤氏はやり過ぎだ』との不満が渦巻いています」(同前)

 そこで、存在感を増しているのが、国対委員長を8年務め、自民党幹部からの信頼厚い漆原氏だ。

「足を運ぶことをいとわない人柄で、自民党の党人派と肌合いが合う。大島氏との関係は有名ですが、二階幹事長との関係もいい。二階氏は、幹事長としてテレビ出演を求められ、通常は井上氏と出る場面でも『うるさんとなら出る』と指名して共演することが多い」(同前)

 中央幹事会会長という現在のポストも、自民党幹部と公式に会いやすいよう漆原氏のために新設された。公明党には定年制があり、前回衆院選で引退するはずだったが、太田昭宏前代表、井上幹事長と共に例外扱いとされた漆原氏。越後屋が隠居するのは、まだ先のようである。

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