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長田 昭二
2016/05/09

スマホの影響で30代前半の人も 「老眼」解消6つの秘策【全文公開】

百円メガネ療法、のぞき見トレーニング、まぶたマッサージ…

source : 週刊文春 2016年1月14日号

genre : ライフ, ヘルス, 医療

本を以前より遠く離して読むようになった。また近くの文字を見るとき、つい目を細めてしまう――。「老眼」に悩まされる人は多い。病気ではなく老化現象であるため、誰もが経験するものだが、専門家に聞くと、症状を軽くしたり“解消”することも可能だという。

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携帯メールを読むのも一苦労に
Photo:Jiji

 若い頃なら難なくできていたことが、年を重ねるに従ってできなくなることを総じて「老化」と呼ぶ。足腰や脳の機能低下をさすことが多いが、目にも老化は訪れる。

 今読んでいるこの『週刊文春』を、あなたは目から何センチの距離で読んでいるだろうか。もし三十センチ以上離さないと文字がはっきり認識できないようなら警戒が必要だ。これに、夕方になるとものが見づらくなる、本や新聞を読む時は近視のメガネをはずすようになった、近くを見る時に目を細める、などの現象が重なれば、「老眼」の可能性はきわめて高くなる。

「老眼の症状は、多くは四十代前半あたりからあらわれますが、スマートフォンやパソコンによる目の酷使などが影響し、発症年齢が低下しています。早い人では三十代前半でも老眼の兆候が出ることがあります」

笹元医師

 こう語るのは「宮崎台ささもと眼科」院長(5月16日川崎市宮前区にオープン)の笹元威宏医師だ。続けて老眼の仕組みをこう解説する。

「目をカメラにたとえた時、レンズの役割を担っているのが水晶体です。遠くを見る時、水晶体は薄くなり、近くを見る時は厚くなることでピントが合う仕組みになっています。

 ところが、加齢によって水晶体を構成するタンパク質が変性すると、水晶体そのものが硬くなり、“厚くなる”ことに抵抗がかかるようになるのです。

 また、水晶体は『毛様体筋』という小さな筋肉が上下で支えています。これが硬くなったり緩んだりすることで水晶体の厚さをコントロールするのですが、この毛様体筋も加齢とともに硬直化していく。毛様体筋が硬くなると、水晶体を厚くすることが難しくなるのです」

 その結果、どのようなことが起きるのか。

平松医師

 彩の国東大宮メディカルセンター眼科科長の平松類医師が言う。

「目で見た物体をクリアに認識できる最短距離を“近点”といいます。近点は毛様体筋の硬直化などにより、年をとるにつれ遠ざかっていく。近点が遠ざかるということは、近点より手前のものを見ようとするとピントが合わなくなることを意味します。これが老眼の症状なのです」

 笹元医師や平松医師によれば、老眼は老化現象であるため、元の視力の良し悪しに関係なく誰の目にも訪れるという。

 ただし、症状の程度には個人差がある。近視用と老眼用で頻繁にメガネを取り替えなければならない人や、老眼から来る目や肩、頸、頭などのこりや痛みに悩む人がいる一方、日常生活でそれほど困らずに過ごせる人もいるのだ。

 ならば、あらゆる人が症状を軽くすることはできないのか。せめて、年を追うごとに進む老眼の症状の進行を遅らせたりすることはできないのだろうか。

 前出の平松医師は言う。

「進行を遅らせるどころか、進行を止める、さらには視力を回復させることも不可能ではありません。ポイントは加齢によって硬直化している毛様体筋をいかにして柔らかくするかということになります」

 では、具体的にそのやり方を解説してもらおう。

 

■百円メガネ療法

 平松医師が推奨する「老眼解消法」は、「百円メガネ療法」というものだ。

 百円メガネとは、百円ショップで売られている安物の老眼鏡。老眼鏡を使えば近くが見やすくなるのは当然と思うかもしれないが、そうではない。この療法では、老眼鏡をかけて見る対象は、「遠く」なのだ。

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