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不動産コンサルタントが実地検証「いい家」の特徴とは?

住宅・住宅設備特集

住宅や住宅設備はこの20年で驚くほど進化を遂げている。快適さや、安全性、掃除しやすさなどは段違いだ。そこで今回は新築の二世帯住宅を訪問。不動産コンサルタントの高橋正典氏に、ポイントを解説してもらった。

ポイント1 親と子で、生活動線を独立させる

不動産コンサルタント 高橋正典
1970年生まれ。不動産コンサルタント。価値住宅株式会社代表取締役として、不動産取引終了後における資産価値の維持・向上を実現する維持管理事業を行う。不動産流通の現場を最も知るコンサルタントとして書籍他各種メディアへの寄稿・コラム多数。

 今回高橋さんと訪問したのは、東京都稲城市にある地下1階地上2階の二世帯住宅だ。アプローチは1本だが玄関は左右で2カ所に分かれており、子世帯の玄関は1階のキッチンやリビングへ、親世帯の玄関はエレベーターでそのまま2階へつながっていく。

「親世帯、子世帯で完全に動線を分けて、それぞれに独立した住空間になっていますね。親子といえど、それぞれにライフスタイルは異なります。特に子世帯が現役で働いているときは、出入りが多く、夜になっても風呂などの物音がしがち。お互いに干渉しすぎないために、こうした間取りの配慮がされているのがいいですね」

アプローチは1本だが、玄関は2カ所に分かれている。

ポイント2 床の高さが空間をゆるやかに区切る

 1階は床面に石材風のタイルが敷かれてモダンな雰囲気。廊下を進むとぱっと目の前が開けて、広々としたLDKが現れる。リビングをやや低く掘り下げているから、天井が高く感じられ、キッチンからでも庭を見通せる。

「玄関から廊下、キッチンまで壁やドアで仕切っていないのに、床の『高さ』で変化をつけているから一続きのLDKの中にも自然と空間の区切りが生まれています。しかも窓は天井高とほぼ同じ約2m85cmの大ガラスを採用しているから、外のテラスもまるでリビングの一部のような印象を与えています」

遊歩道の緑を借景にし、テラスにつながるリビングは、広々とした印象。

ポイント3 すっぽり断熱で室温を安定させる

 さらに高橋さんが注目したのは、全館空調で家のどこにいても心地良い温度に保たれていること。「これは、高断熱・高気密を徹底しているつくりが効いています」と話す。

キッチン横のパネルで温度制御や電源のオン・オフを集中管理。

「新築でもリノベーションでも、天井、壁、窓の断熱をしっかりと見直すことが重要です。例えばこちらのお宅の場合、リビングの窓は、高性能サッシにトリプルガラス、ガラス間にガスを封入した断熱性能の高い製品を採用しています。さらに壁断熱のレベルも高い。外断熱に加えて内断熱として90cmの厚みのあるウレタンを吹き付けています。断熱材で家中をすっぽりくるんでしかも気密性を高めているから、ヒートショックにつながりやすい浴室前や廊下の室温も一定に保ちやすくなっています」

 内断熱だけでも、厚めに断熱材を入れれば効果は得られるという。

「内断熱は湿気でウレタンが劣化し、落下するなどのトラブルが起きる可能性がありますが、この家のようにそれらを解消する吹き付けタイプの断熱材も登場しています」

ポイント4 寝室からトイレ・風呂は最短距離で

 親世帯が暮らす2階のフロアは、バリアフリーに配慮したフローリングで間取りも回遊式になっている。例えばトイレやバスは、キッチンと寝室の2方向から出入りできる形になっている。高橋さんは「寝室からトイレや浴室へすぐに移動できる間取り。足腰が弱ったときも生活しやすく、理想的な動線設計です」と感心した様子だ。

 このほかにも親世帯への配慮が随所に凝らされている。親子それぞれの時間を気兼ねなく楽しみ、何かあれば助けにもいける。この先に“世代交代”が起きて子世帯がその子どもたちと住むときにも、安心して暮らせる。

「これからの中高年世代は、体は元気で、仕事も遊びも充実する世代になるでしょう。そんな人の住まいづくりでは『家族のため』という視点に『自分が心地良い』ことも加えて、納得のいく住まいを手に入れてほしいと思います」

写真奥に、トイレとお風呂の入り口がある。寝室からはもちろん、キッチンからの2方向で出入りできる。
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