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【楽天】藤平尚真と僕と文春 見えない糸で結ばれた不思議な関係

文春野球コラム ペナントレース2017

甲子園に帰ってきた藤平尚真

 6月16日の阪神vs楽天戦、ついに甲子園にあの男が帰ってきた! 帰ってきたと言っても阪神タイガースのピッチャーが何百日ぶりの復活マウンドを踏んだ訳ではなく、阪神から楽天に来たピッチャーでもない。前回登板時は高校生だったのだ。

 第98回全国高等学校野球選手権大会、8月14日の履正社戦以来、一年も経たずしてそのマウンドに帰ってきた男の名は藤平尚真という。2016年の秋、横浜高校から楽天にドラフト1位で入団したルーキーピッチャーである。

横浜高校から楽天にドラフト1位で入団したルーキーの藤平尚真 ©時事通信社

 昨夏の甲子園で藤平と共に高校BIG4と呼ばれた寺島成輝(東京ヤクルトドラフト1位)、今井達也(埼玉西武ドラフト1位)、高橋昂也(広島東洋カープドラフト2位)の誰よりも早く甲子園に帰って来た事は高校野球ファンであり、楽天ファンである僕にとってはたまらなく嬉しい事だった。

 そしてなんと有難いことに、この記念すべき試合をMBSラジオのゲストとして呼んでいただき、バックネット裏から観る事ができた。交流戦最後のカードにして、タイガースが首位争いをしているということもあり球場はレフトビジター席の「わかさ生活」の看板の下にちょろっとクリムゾンレッドが見える以外は全て黄色で埋めつくされていた。

 しかし僕も期待の新人の一軍初登板なので負けてられない。Withタイガースという番組にもかかわらず「FUJIHIRA」のネーム入りユニフォームを身にまとい解説席から藤平投手を応援した。

 いきなり一番糸原選手にプロの洗礼(センターオーバー二塁打)を浴びるも、北條、高山、福留を打ち取り初回を無失点に終えると毎回ランナーは出すものの、与えた失点は原口選手のツーランホームランだけで5イニング投げて被安打5の2失点、高卒1年目の初登板とすれば合格点ではなかろうか。

 しいて言えば変化球の曲がりが少し早かったように見えたが、その辺りを調整し、決め球を作る事が出来ればキレのある素晴らしいストレートがある分もっと楽にピッチングができるようになると感じた。

 そして藤平という男から大物の匂いがしたのは4回裏、二死一、二塁でバッター岩貞のシーン、ピッチャー前にボテボテのゴロが転がるのだが、すかさずベテランの嶋捕手へ捕ってくれの合図。結果キャッチャーゴロになったが、時代が時代なら「お前がいかんかい」である。解説の亀山つとむさんも初登板ルーキーとは思えないええ心臓してるとおっしゃっていた。

 どんな世界でも同じだと思うが、周りがなんと言おうと自分が信じた道を邁進する事って難しいけど、とても大事な事だと思うし、それが出来る人間が成功を勝ち取るのだと思っている。

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