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経産省若手官僚5人が語り合う「私たちが、あのペーパーで伝えたかったこと」#2

131万ダウンロード 異例の「文書」作成メンバーが考える「これからの官僚」

2017/07/04

さまざまな批判をどう受け止めたか?

――「地方のことが抜けている」という批判と同じくらい、「緊縮志向ではないか」という批判も目にしました。歳出をどう削るか、どう付け替えるかという話に終始して、むしろこれまでの経産省がやってきた成長産業の育成といった歳入サイドの提案がない、という声もありましたね。

 

須賀 それは「資料3」でやっているからいいや、というのはあったよね。

上田 このペーパーは産業構造審議会の総会資料2で、資料3で「本業」のほうのまとめがなされているんです。

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須賀 本業の成長戦略や技術戦略、AI時代にどう成長していくかといったことには、省を上げてのビジョンがあるんです。歳入についても、このペーパーでも53ページで「資産課税強化」というのは入れていて、グローバル企業の課税逃れをどうするかといった議論もしました。ただそれは技術的な各論かなと思ったので、あまり分量を割いていないんです。

上田 われわれは普段から予算を前提に仕事をしているので、今回はそれを外して、その前の優先順位の議論をしたつもりです。それにいくらかかるのか、どこから持ってくるのかというのはまだこれから勉強しなければいけないところなので、緊縮志向かどうかを考える手前の段階なんです。財政的な意味で実現は厳しいアイデアも多いとは思うのですが、そこにはまって議論するだけではこれまでの考え方そのもの。今回はその外で議論をしたつもりです。

須賀 これからの増税分が高齢者に向かっていく状況のなかでは、「子どもが大事だ」と言ってみても「じゃあ財源探してください」と返されてしまうフレームワークがある。そこから一度抜け出してみようということだったんです。

菊池沙織さん(H25入省/28歳 大臣官房総務課 総括係長)