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「稲田失言」「下村疑惑」 真摯に説明責任を果たしていない「問題発言」総チェック

驕りの安倍政権、火を噴く問題群

2017/07/01
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「頭に来た」首相のすごい発言

安倍晋三 首相
「速やかに全国展開を目指したい。意欲があれば獣医学部新設を認める」

産経新聞 6月24日

安倍首相、加計孝太郎氏、萩生田光一官房副長官の「けものフレンズ」 ©共同通信社

 24日、神戸市内で開かれた神戸「正論」懇話会で講演を行い、加計学園の獣医学部新設計画をめぐる対応について「プロセスに一点の曇りもない」と述べた。

 驚きの発言はその後だった。国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設について安倍首相が「全国展開を目指したい」と発言し、全国の他大学にも新設を認めることに意欲を示したのだ。

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 政府は2015年に獣医学部新設について「新たな具体的な需要がある」「既存の大学・学部では対応が困難な場合」などの4条件を閣議決定しているため、今回の首相が語った内容の実現可能性は限りなく低い。また、昨年11月に国家戦略特区諮問会議が決定した「広域的に獣医学部がない地域に限る」という新設の要件に関して、「加計ありき」という批判が強まったため「全国展開」を持ち出したという見方もある。安倍首相は「獣医師会の強い要望でまず1校に限って認めたが、中途半端な妥協が疑念を招く一因になった」と釈明したが、日本獣医師会の幹部は「そうしたお願いをしたことはない」と反論している(毎日新聞 6月24日)。

 国内16大学の獣医学関係者で組織する全国大学獣医学関係代表者協議会と日本獣医学会は、首相の発言を受けて「日本の獣医学教育の根幹、ひいては広く大学教育・研究を崩壊に導きかねない驚がくすべき発言」とする声明を出した(時事ドットコムニュース 6月28日)。声明では国家戦略特区を利用した獣医学部新設について「妥当性を欠いたまま進められ、結果として獣医師養成教育の深刻な質低下が生じる可能性が危惧される」としている。

 毎日新聞は「『首相の友人が理事長を務める加計学園だけが優遇された』という批判をかわす狙い」「内閣支持率が急落する中、国民の目先を変えたいという思惑」を指摘している(6月24日)。はたして首相の発言の本当の意図とは……?

安倍晋三 首相
「あまりにも批判が続くから頭に来て言ったんだ」

『真相報道バンキシャ!』 6月25日

「真摯に説明責任を果たしていく」と記者会見で発言してから、まだ10日ほど ©山元茂樹/文藝春秋

 国家戦略特区に関し、獣医学部新設を全国展開する考えを示した安倍首相。その理由に日本中が仰天した。「頭に来て言ったんだ」って何それ!? 

 冒頭の言葉を紹介したのは、25日に放送された『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)。安倍首相は周囲の側近に対して、「あまりにも批判が続くから頭に来て言ったんだ。そもそも加計学園のためにやったんじゃなかったんだから」と述べたのだという。絶句する日本国民。そりゃそうだ。「ついカッとなってやった」みたいな発言で納得するわけがない。

 なお、菅義偉官房長官は27日の記者会見で「頭に来て」発言について東京新聞の望月衣塑子記者から質問を受けて、「憶測に基づいての発言について答えることは控えたい」とかわしている。どうでもいいが、『バンキシャ!』の豊田真由子議員のイメージ映像は女優さんの再現度が高くてびっくりした(声はそれほどでもなかった)。

豊田真由子議員 ©時事通信社