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森岡 英樹
2016/11/18

トランプ大統領を待ち受ける経済三大リスク

source : 週刊文春 2016年11月24日号

genre : ニュース, 経済, 国際

今後は結果が問われる
Photo:Kyodo

 トランプ大統領を待ち受ける最大のリスクは、経済になるだろう。

 三村明夫・日商会頭が「選挙期間中に発言したことをすべて政策として実現すれば問題だ」と指摘する通り、トランプ氏の公約、中でも経済政策は整合性を欠いており、極めてリスクが高いのだ。

「たとえば高関税などの保護主義的政策は短期的には景気を冷やします。移民制限も人件費を高騰させ、景気にはマイナスです」(エコノミスト)

 特に、トランプ氏ならではのリスクも大きい。

 まず1つ目は、不動産王として鳴らしたトランプ氏ゆえの「利益相反」だ。

「アメリカ第一主義を掲げ、NAFTAをはじめ通商交渉はすべて見直すと言明しているが、自身はトルコ、インド、韓国、ブラジル、ウルグアイ、フィリピンなどでビジネス上のライセンスやマネジメント契約を保有しており、これらの国との通商交渉では利益相反が生じかねない」(同前)

 特に、ドイツ銀行問題はやっかいだ。

「トランプ氏のビジネス上のメインバンクであるドイツ銀行は米司法当局からモーゲージ関連商品の不正販売を巡り巨額な賠償請求を受けている。和解交渉の行方が注目されます」(同前)

 2つ目は、来年夏にも直面する連邦債務の上限問題だ。

 トランプ氏は連邦法人税を20%引き下げて15%とする一方、今後10年で1兆ドルものインフラ投資を掲げている。当然、財政赤字の拡大は必至で、連邦債務は早晩上限に達する。だが、上限引き上げには、議会の承認が必要となる。

「多数派の共和党は財政規律に厳しい。もし議会が承認しなければ、国債の新規発行もできず、利払いにも支障が出る。政府機関の窓口は閉鎖され、支持率は急落するでしょう」(金融関係者)

 さらに、米経済を牽引するIT企業などの“海外逃避”も懸念される。トランプ氏は選挙中、アップルやアマゾンを名指しで攻撃してきた。

「IT企業を担っているのはインド人などの移民。反移民政策を掲げるトランプ氏を嫌って、これら有力企業は海外移転を進めかねない」(同前)

 少なくとも今後4年間、世界はトランプリスクと向き合うことになる。

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