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【ウエスタン・広島】今井啓介にどのようなエールを送ればいいのだろう

文春野球フレッシュオールスター2017

2017/07/13
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※こちらは公募企画「文春野球フレッシュオールスター2017」に届いた約100本の原稿のなかから出場権を獲得したコラムです。おもしろいと思ったら文末のHITボタンを押してください。

【出場者プロフィール】suga(すが) 広島東洋カープ 47歳
 広島で生まれ育ち昭和50年代のカープ黄金期を知る、単なる野球好きのおっさんサラリーマン。愛猫家。帰宅のときにスポナビ一球速報で静かに一喜一憂。カープが勝てばCSフジテレビ「プロ野球ニュース」。たまに会社帰りに神宮球場でビール片手に観戦。一押しプレーヤーは高橋慶彦、というのも古すぎるんで丸佳浩。一押し投手は大野豊、というのも古いのでクリス・ジョンソン。

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30歳・今井啓介の生き残りをかけたマウンド

 交流戦ホークスとの初戦の9回表、マウンドにあがる投手が今井啓介とわかり「おっ?」と思った。ちょうどその日ファームからあがってきたドラ1ルーキー加藤拓也が投げるだろう、と予想していたからだ。負けているが2点差だからゲームはまだわからない。ただ9回裏、向こうは絶対的クローザーのサファテだ。かなり敗色濃厚。となると勝ちパターンのリリーフ陣は投げさせにくい。ファームで中継ぎの調整をしていた豪腕でノーコンの加藤が、どのくらい投げられるか試すなら絶好の機会に思えた。前日にファームから上がってきた今井がマウンドにあがるとなると、ちょっと意味合いが変わってくる。今井の生き残りをかけた登板ともなるからだ。

プロ入り12年目の今井啓介 ©時事通信社

 今井は高卒でプロ入りして12年目の30歳。ずっと若手のイメージがあるが、中堅からベテランに入るところだ。プロ入り通算8勝20敗1セーブ、防御率3.56。キャリアの中で長くをファームですごしている。1軍では2年ぶりの登板になる。昨年は大きな怪我をしていたわけじゃなく、1軍の枠に入れなかった。ちなみに2年前に1軍で最後に投げたときは、2年ぶりの先発だった。

 ドラフト同期には梵。当時は大学生+社会人と高校生でドラフトが別だった。高校生ドラフトで入団した他のカープ同期はすでに現役じゃない。その年の高校生ドラフトのカープ同期で一番活躍したのは通算19勝でローテに入ったこともある赤ハンカチこと齊藤悠葵で、3年前に引退している。指名順位は今井が2位で齊藤が3位だった。黒田2世なんて言われてた時期は期待も高かったと思う。2012年には一度完封勝利もあげている。それでも30歳で2年ぶりに1軍で投げる投手となると、どんな状況にせよ生き残りをかけた登板だ。

無残だった2年前の登板

 今井は2年前のシーズンに開幕1軍メンバーに入った。(自分にはちょっと意外だったのだが)プロ入り初めての開幕1軍だった。でも開幕して1週間ちょっとで抹消されてしまった。その間に2回中継ぎで登板して無失点。チーム編成上の都合だった。開幕1軍の投手陣の中では最後方の位置だったのだ。

 その後、5月最後の方で1軍に再登録されて、中継ぎで登板を重ね、7月に2年ぶり先発の機会が回ってきた。中継ぎで登板を重ねた中での防御率は1.76だから悪くない。曲がりなりにも開幕1軍に入ったことと、中継ぎでは結果を出していたので、自分はほんの少し期待していた。前年より少し変わったかもしれない。10年もプロにしがみついてきた男だ。なんか結果を残してくれるんじゃないか。

 でも結果は無残だった。3回途中で4失点KO。すぐファーム行きになった。しかも無残な結果に続きがあった。8月にファームで先発して5回16失点被本塁打6。自責点と被本塁打のウエスタン・リーグワーストの記録を作ってしまった。正直言って、今井はオフに自由契約になるんじゃないか、と思った。今井は心が折れてしまったかもしれない、とも思った。

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