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「元カノは北川景子」相模原死体遺棄 佐藤一麿“虚言の果て”

source : 週刊文春 2016年5月5日・12日

genre : ニュース, 社会

 昨年6月に発覚した「相模原死体遺棄事件」。未だ多くの謎が残る中、公判や関係者証言で浮かび上がってきたのは、主犯の佐藤一麿(30)と元恋人の秋山智咲(24)が織り成してきた尋常ならざる関係だ。

佐藤一麿容疑者(高校の卒業アルバムより)

「人と思って埋めていません」(初公判の秋山証言)

 2013年7月。白百合女子大の4年生だった秋山は、当時婚約中の佐藤に請われ、2人で異臭を放つ“ブルーシートの物体”を相模原の墓地に埋めた。

 秋山は佐藤に「吉本の社長から処分を頼まれた虎の死体」と説明されたとしているが、実際は佐藤の元交際相手・阿部由香利さん(当時25)の亡骸だった。

「佐藤は死体遺棄罪の有罪が確定後、今年2月に阿部さんに対する殺人容疑で再逮捕されました。こちらが事件の本丸で、公判待ちです。一方、殺人幇助容疑で再逮捕された秋山は不起訴となりましたが、一貫して無実を主張する死体遺棄事件の公判は、今も続いています」(社会部記者)

 2人は2012年、都内の「スターバックス」で、アルバイトの同僚として知り合う。佐藤は貸切にした高級レストランに秋山を招待し、同年暮れから交際に漕ぎ着けた。

 逮捕に至るまで、秋山は佐藤の虚言を信じ込まされていた。例えば、以下は佐藤が騙っていた偽のプロフィールの要約である。

〈慶応大学の大学院生でフジテレビに内定。キムタクやEXILEと親交があり、元カノは北川景子、その前は相武紗季。親戚筋に菅義偉官房長官や岸田文雄外相がおり、将来は彼らの地盤を継いで政治家転身が確約されている――〉

 秋山は、なぜ荒唐無稽な嘘に騙されたのか。事情を知る関係者が明かす。

「佐藤の母親がフジ系列の文化放送アナだったのは事実で、佐藤は『HEY!HEY!HEY!』などフジテレビ番組の台本をどこからか入手していました。こんな小道具も駆使しながら、もっともらしい業界情報を吹き込んで秋山を信用させていったのです」

Photo:Kyodo

 こうして関係の主導権を握った佐藤は、秋山の嫉妬心も利用した。

 2013年のバレンタインデー。秋山の元に見知らぬ女性から電話が入る。

「いま、私の隣でマロ(佐藤)が寝ている。あなたのことは好きじゃないと言っている」

 後日、秋山に問い質された佐藤はこう釈明した。

「(北川)景子ちゃんだよ。復縁を迫られてるけど、別れているから大丈夫」

 本当の電話の主を、捜査関係者が補足する。

「佐藤が密かに二股交際を続けていた阿部さんだと思われる。阿部さんも佐藤の偽の経歴を信じ込まされていた形跡があった。秋山は阿部さんと面識がないと言っているが、この電話はおそらく唯一の“接点”です」

 秋山が“虎の死体”を運搬するのを嫌がった際も、佐藤はこう告げて、強引に承諾させたのである。

「じゃあ、景子ちゃんに頼むよ!」

 秋山が佐藤の虚言に翻弄され、操られた背景には、こんな事情もあった。

「秋山の実家は静岡の豪農ですが、2人姉妹で跡取りがいない。佐藤は秋山家に婿入りすると約束していました。テレビマンを経て政治家に転身する将来を諦めさせることに、彼女はどこかで負い目を感じていた。結局、父親が佐藤の人柄を跡取りとして失格と見なしたため、事件発覚の1年ほど前、2人は別れることになった」(前出・関係者)

 秋山の法廷は、5月の被告人質問でクライマックスを迎える。黙秘を続ける佐藤の虚像はどこまで暴かれれるのか。

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