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【ロッテ】聖地甲子園をマリーンズの応援歌が包み込んだオールスター

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/07/15
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伊東監督「涙が出そうだったよ」

 私は実はこの日、甲子園には行っていない。恥ずかしながらテレビでも試合を見ていなかった。ただ千葉に戻ってきた指揮官が興奮した口調で話をしてくれた。それが今も鮮明に私の記憶の奥深くに残っている。

「甲子園のスタンド全体からマリーンズの応援歌が聞こえたんだ。オレたちの応援歌を12球団のファンが歌って後押ししてくれたんだ。そして(鈴木)大地が応えるように打ってくれた。あの甲子園でその瞬間、マリーンズが主役となった。たった一人しか出ていなかったけど、いろいろな意味で中心になった。それは誇らしいことだったし、嬉しかった。たった一人の出場にも関らず、甲子園にまで足を運んでくれたマリーンズファンに感謝。その人たちの想い、熱意が球場中のファンにも伝わり、包み込んだのだとオレは思う。涙が出そうだったよ」

 だから、動画を見つけ出して改めて見た。それは本当に感動的なシーンだった。指揮官がベンチで思わず感極まりそうになったのも、うなずけるような現象に見えた。

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 きょう7月15日、千葉ロッテマリーンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムで2017年のオールスター第2戦が行われる。それを前に私は過去のいろいろな球宴を振り返っていた。10人の選手が出場し活躍をした05年も確かに思い出深い。それでも私は目の前で見たわけでもないこの試合が一番、心に残っている。

 マリーンズは今年、前半戦で借金30を数え、底の見えぬ不振にあえいでいる。本拠地でのオールスター開催とはいえ、監督推薦で鈴木大地内野手、田村龍弘捕手、二木康太投手が、かろうじて選ばれたのみ。ここまでの2017年シーズンはファンにとって辛く、悲しく、悔しい日々となってしまった。だからこそあの日のあの打席を思い出しながらZOZOマリンスタジアムでのオールスターを迎えたい。選手たちにはマリーンズの誇りを胸に打席へ、マウンドへ向かって欲しい。あの日のように意地を見せて欲しい。熱い応援に応えて欲しい。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3365でHITボタンを押してください。

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