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【オリックス】後半戦Aクラス浮上への鍵を握る「カルテット」

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/07/18

人気ドラマ「カルテット」にあやかって、あえて4人を選出してみる

 いよいよオールスターの季節が到来する7月中旬。毎年の事だが茹だるような暑さと額の汗が意識せずとも夏本番を感じさせてくれる。前半戦の最終カードを見事3タテ、7月9日の対ロッテ戦から数えて4連勝で前半戦を終えた我らがBs。吉田正尚選手の復帰や山崎福也投手の初完封など明るい話題が満載であった。既に来季を見据えロメロとの契約延長交渉を行い、また球団社長がシーズン半ばでの監督続投を明言するなど、未だ借金生活とは言えここまでは最低限の戦いが出来たという事か。

 勿論、優勝を目標として始まったこのペナントレース。本当の意味で最低限と言えるAクラス入りまで6ゲーム差。ここは何としても後半戦に巻き返し2強ムード漂うパ・リーグペナントレースに一石を投じたい。

 そこでこの文春野球コラムの場を借りて、自分が後半戦のキーマンと思える選手について言及してみたいと思う。勿論全選手がキーマンであり、活躍しなくて良い選手などいない訳だが、ここはひとつ人気ドラマ「カルテット」にあやかって、あえて4人ほど名前を挙げてみたいと思う。異論を挟む隙はじゅうぶんに残しておくので、一読及びHITボタンの押下の後で、是非とも観戦仲間とディスカッションを繰り広げて欲しいと思う。

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カルテットの主役とも言える2本のヴァイオリン

 カルテット。基本的には「四重奏」の事を指す。忘れ去りたい記憶「ダイエーホークスの100打点カルテット」の事ではなく、本当の「弦楽四重奏」に準(なぞら)えて後半戦のキーマンを列挙して行きたいと思う。

 まずはカルテットの花形ヴァイオリンから。第一ヴァイオリンは皆さんも同意見であると思うが吉田正尚選手である。昨シーズンは後半戦に一軍復帰を果たすと瞬く間に10本塁打を記録。豪快が代名詞の左の大砲が2017シーズンではどれほど本塁打を量産してくれるのかと、我々ファンの期待も青天井であった。しかしご存知のように前半戦で彼の活躍を見る事が出来なかった我々Bsファン。腰痛での離脱とはいえ、どれだけ無い物ねだりを繰り返した事か。彼の能力は誰より理解している。出場すれば活躍してくれるのは分かっている。あと1本が出なかった試合の日は特に彼を強く熱望したはずだ。

 文春野球コラムで無人の野を行くが如き活躍を見せるプロ野球死亡遊戯氏の文体を借りれば「まるでフル出場さえ出来れば日向小次郎率いる東邦学園に勝てていたかもしれない武蔵中の三杉淳」を見ているようなもどかしさであった。それでも復帰2試合目で本塁打を放った吉田選手。後半戦こそ彼のホームランアートに酔いしれたい。くれぐれも無理をして腰痛の再発が無いように。その点については万全のサポートをお願いしたい。

開幕から腰痛で離脱していた吉田正尚 ©時事通信社

 そしてカルテットもう一人の花形、第二ヴァイオリン。自分は駿太選手の活躍に期待したい。一時期に比べ左打者の不足に悩むBs。T-岡田選手、そして先ほどの吉田選手、ここに駿太選手の活躍が加われば間違いなく得点力が安定するだろう。元々その素材を高く買われて1位指名を受けた高卒ルーキーである。同級生の山田哲人(ヤクルト)や源田壮亮(西武)、西川遥輝(日ハム)の目覚しい活躍に負けないように、その存在感をそのバットで見せつけて欲しいと思っている。

 また2011年春、自分にとって印象的な出来事があった。オリックス球団のイベント担当者と打ち合わせをしていた時の話である。その担当者に「DOMIさん。後藤駿太選手ってどんな選手なんですか?」と問われた。プロ野球球団に勤務している人達とは言え、すべてのスタッフが野球の事を詳しく知っている訳では無い。勿論一般の企業に比べて野球に明るいメンバーである事は事実であるが、イベント担当やファン対応の担当者が新人選手の詳細を把握していなくても何ら珍しい事では無いのだ。

 そんなイベント担当からの突然の質問に「どうしたんですか? 駿太選手に何かあったんですか?」と逆に質問をしてしまう自分。その担当者が言うに「毎日一番早くから一人で球場入りし、ずっと練習しているんです。こんなに練習する選手は珍しいので気になって」との事。そんな彼である。めっきりレギュラー争いが激しくなったBs外野陣に於いても、その努力で必ずやレギュラーの座を掴んでくれるはずだ。大丈夫、駿太選手の守備にはあのロベルト・バルボン氏も太鼓判を押しているのだから(前回コラム参照)。

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