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死刑廃止で日弁連が「分裂」 オウム真理教の死刑囚はどうなる?

8カ月ぶりに執行命令を下した金田法相 ©共同通信社

 法務省は13日、2人の死刑を執行したと発表した。執行されたのは大阪拘置所の西川正勝死刑囚(61)と、広島拘置所の住田紘一死刑囚(34)。西川死刑囚は1991年に飲食店経営者の女性4人を相次いで殺害した事件、住田死刑囚は2011年に元同僚の女性を殺害して遺体を切断するなどした事件で死刑が確定していた。

 昨年11月以来約8カ月ぶりの執行を受け、日本弁護士連合会(日弁連)は同じ日に会長名で抗議声明を出した。日弁連は昨年10月、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択しており、今回の抗議声明でも「2020年までに死刑制度の廃止を目指すべき」と訴えた。

「ところが、一部の弁護士が日弁連の抗議声明に反発するような別の声明を出したのです」(法務省担当記者)

 このグループは自分たちの声明で「死刑制度は最高裁判例でも合憲とされている制度であり、死刑判決は極めて凶悪で重大な罪を犯した者に対し、裁判所が慎重な審理を尽くした上で、言い渡されています。法律に従い、執行されるのは当然」と主張した。

「日弁連が死刑廃止宣言を出して以降、会員の一部から『犯罪被害者の気持ちを無視している』『宣言が採択された日弁連の大会には全会員の約2%しか参加しておらず、会員の多数意見とは言えない』との批判が出ており、今回もそうした異論が現れた格好です」と日弁連関係者。日本最強の人権擁護団体も、死刑制度の是非を巡る問題では一枚岩といかない状態だ。

 一方、全国の拘置所にはまだ124人の死刑囚がいる。刑事訴訟法は、死刑は判決確定から6カ月以内に執行すると定めているが、そのルールが守られておらず、死刑囚の数は高止まり状態にある。その中で、13人を占めるのが松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(62)らオウム真理教事件の死刑囚たちだ。

「オウム事件は菊地直子被告と高橋克也被告の事件が最高裁に上告中で、共にここ1年ほどで決着するとみられます。そうなれば麻原教祖の執行も現実味を帯びてきます」(前出・法務省担当記者)

 そうした状況の今、日弁連が唱える死刑廃止が受け入れられる土壌が、社会に整いつつあるとはいえなさそうだ。

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