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黒井 遼
2016/04/14

資産1兆円超でもユニクロ下方修正
柳井社長の誤算

source : 週刊文春 2016年4月21日号

genre : ビジネス, 企業

会長と社長を兼任する柳井氏
Photo:Kyodo

 ユニクロを運営するファーストリテイリング(FR)の柳井正社長は、7日に米フォーブス誌が発表した長者番付で、2年連続で日本人1位となった。同誌によると、柳井氏の資産は163億ドル(約1兆8400億円)に上る。

 同じ日、柳井社長は、2016年8月期の中間決算の説明会で、厳しい表情を見せていた。

「今期は不合格。30点」

 今期2度目となる業績の下方修正に追い込まれたのだ。営業利益も5年ぶりに減益になる見込みだ。グループの中核である国内ユニクロ事業の不調に加え、中国やアメリカのユニクロ事業も苦戦を強いられた。好調だったのは、安売りブランドのGUのみという厳しい決算だった。

 下方修正を受け、同社の株価は、前日の3万円台から2万6000円台にまで急落。株価が3万円を割るのは、13年6月以来のこと。昨年7月につけた6万円台の最高値から半値以下に暴落した。

 業績悪化の原因は、2年連続の値上げだ。14年に平均5%、15年に10%の値上げを断行した。値上げにより、これまでより一段上のブランドイメージの定着を狙ったが、裏目に出た。

 まず来店客数の前年同月割れが続くようになった。客離れが顕著になったのが、16年8月期。アパレル企業にとって、書き入れ時となる11月と12月の売上高が、前年比で10%前後のマイナスを記録する。そのため、各店舗で、売れ残りの在庫商品が山積みとなった。やむなく、1月に在庫処分の半額セールを打つ。おかげで、売上は回復したが、いわば叩き売りだけに、利益率を大きく毀損した。それが、今期2回目の下方修正につながった。

“迷走の象徴”が、今年1月から始めたメンズのセミオーダージャケットだ。仕立て代と合わせて1万4900円。「異例の高価格商品でしたが、サイズが合わないと返品されるケースが出るなど現場は苦労していた」(ユニクロ関係者)

 柳井氏は「1990円とか2990円とか単純なプライスに戻したい」とし、低価格路線に戻すという。

 柳井氏の資産の大半は、21%を保有するFRの株式である。ユニクロの原点回帰が失敗すれば、柳井氏の資産も大きく目減りすることになる。