昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

牧野 愛博
2016/04/23

韓国総選挙惨敗で朴大統領の大誤算
日本への影響は?

source : 週刊文春 2016年4月28日号

genre : ニュース, 政治, 国際

総選挙で投票する朴大統領
Photo:Kyodo

 4月13日夜、ソウル・汝矣島(ヨイド)にある韓国与党セヌリ党の本部は重苦しい空気に包まれていた。記者会見を予定していた金武星代表は突然、「入院」した。無理もない。事前に同党の研究機関が予測した議席数を30議席も下回る惨敗を喫したのだから。

 戦前は「セヌリ党の圧勝」というのがもっぱらの下馬評だった。定数300に対し、「180」「いや200も」という景気の良い言葉が飛び交った。その根拠は、40%台で安定飛行する朴政権の支持率と、保守傾向の強い60代以上の有権者が23.4%を占める「高齢化社会」だった。

 だが結果は、セヌリ党は122議席に終わり、第一党の座を、123議席を獲得した野党「共に民主党」に譲り渡した。

 なぜ、セヌリ党は敗れたのか。韓国の元国会議員は「韓国人は支持したい人ではなく、落としたい人を選ぶ」と語る。それほど、朴大統領一派の振る舞いは、韓国有権者には傲岸不遜に映った。朴大統領は常々、景気悪化の原因を「必要な法律を通さない国会の責任」と言ってはばからなかった。しかし、今の国会議員を選んだ責任は、12年総選挙当時に党代表だった朴氏にある。朴支持派も、露骨に非支持派を公認争いで蹴落とし、反感を買った。

 総選挙が終わった瞬間、韓国の政局は17年12月の大統領選に移った。今回の野党圧勝は「与党へのお灸」とみられており、大統領選はむしろ保守に有利とみる評論家も少なくない。ただ、朴氏は選挙結果についてすぐにコメントを出さず、「やっぱり反省していない」「野党と融和しない限り、与党はまた痛い目に遭う」という声も漏れる。

 今年末には大統領選に向けた有力陣営のキャンプがつくられるだろう。今のところ、潘基文国連事務総長、朴元淳ソウル市長、安哲秀・国民の党共同代表らの名前がささやかれるが、韓国でも「政治は生き物」、一寸先は闇である。

 では日韓関係への影響はどうか。慰安婦問題を盾に日韓首脳会談を拒否した朴政権に対して、野党は「会って文句をいうべき」と批判してきた。従って、誰が大統領になっても首脳会談ができない事態は避けられそうだが、慰安婦合意の履行については、一筋縄ではいくまい。

はてなブックマークに追加