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【楽天】高校球児たちに希望を与える福山博之の生き様

文春野球コラム ペナントレース2017

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福山博之は野球少年の夢であり希望である

 現在高校野球の地方大会真っ只中、本日7月19日は奈良大会をチェックに佐藤薬品スタジアムに来ているが、五條高校の四番手に出てきたピッチャーなんて球に力があり、大学に行けば伸びしろがあるのでは? と思ったり、ほかにも生駒高校や磯城野高校にも楽しみな選手はいた。ただ彼らが今後野球を続けるのかは疑問である。もう自分の高校野球はやりきったと完全燃焼して引退するなら、何も言うことはないのだが、もしも彼らの中に「自分の力はこんなもん。どうせ強豪私学の甲子園組にはどう転んでもかなわない」と思う選手がいるなら、それは違うと教えてあげたい。

 皆さんは知っていますか? 島根県の山あいにある公立高校出身で、高校までは内野手、大学へも一般入試で入学し、野球部への入部のしかたさえわからなかった選手が大学からピッチャーを始め、今シーズン開幕から一軍で一度も抹消される事なく36試合に登板して防御率0.00(ちなみに5勝0敗15ホールド1セーブ)のプロ野球界唯一無二の記録を継続していることを(7月20日、37試合目で自責点がつき、防御率0.00ではなくなる)。そう、その男とは楽天イーグルス中継ぎのエース、福山博之投手である。

福山博之とのツーショット ©かみじょうたけし

 福山投手は2010年にドラフト6位で横浜に入団するも、わずか2年で戦力外通告を受けてしまう。身体能力の高さをいかし野手登録なら育成枠で受け入れるという横浜の打診を断り、ピッチャーにこだわった。そして2012年秋に楽天が見事に獲得したのだが、そこからの活躍が凄まじい。2013年楽天初年度に22試合に登板し日本一に貢献、シーズン中はその身体能力をおおいに発揮し代走としても出場、翌2014年にはとうとうオールスターにも出場し、2015、2016年と中継ぎの屋台骨を支え3年連続60試合以上登板している。

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 2014年シーズン前のキャンプの声だしでは、先発での二桁勝利か中継ぎでの60試合登板を達成できなければ、台湾でダンサーになると宣言したり、今シーズン開幕前の自主トレでは賞味期限切れの食べ物を食べて胃袋を鍛えている(よい子のみんなは絶対真似しないで下さい)と告白したりと独特な感性の持ち主ではあるが、一つだけ確かな事は人生のどの場面でも決して野球をあきらめなかったということだ。そんな男の生き様が今シーズンの成績につながっていると思う。

 甲子園に行けなかったから、高校でレギュラーじゃなかったから、そんな理由で野球を終わらせるなら断固反対だ。自分の小さな物差しで自分を計るのはやめてくれ。そして福山投手にはどこまでも突き進んでほしい。その活躍が楽天ファンを越え全国の野球少年の夢であり希望であるからだ。

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