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「あしたなんて説明しよう」 安倍政権“疑惑大臣ツートップ”の説明を振り返る

「メモはない」「報告は受けてない」 真摯な説明責任はない

2017/07/22

genre : ニュース, 政治

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稲田朋美 防衛相
「日報を非公表にするとか、隠蔽するということは了承したことはない」
朝日新聞 7月20日

 また、稲田朋美防衛相だ。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を陸上自衛隊が廃棄したと説明しながら保管していた問題で、問題発覚前に稲田防衛相に日報の電子データを保管していたと報告していたことが明らかになった。日報問題を調査する特別防衛監察の聴取に陸自側が経緯を説明した。

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稲田朋美防衛相 ©三宅史郎/文藝春秋

 廃棄したとされる日報の電子データが陸自内に保管されていると判明したのが1月中旬のこと。2月13日、陸自ナンバー2の湯浅悟郎陸幕副長がパソコンの端末内に日報のデータが残っていることを報告したところ、翌日に定例の会見を控えていた稲田氏は「けしからん、あした(会見で)なんて説明しよう」と述べたという(FNN 7月20日)。2日後の2月15日には黒江哲郎防衛事務次官、岡部俊哉陸幕長らと緊急会議を開いて対応を協議し、非公表にすることを稲田氏は了承したとされる。

 陸自内に日報のデータが残っていたことは一部の報道によって3月15日に発覚、稲田氏は3月16日の衆院安全保障委員会で「(陸自から)報告は受けていない」と答弁している(日本経済新聞 7月20日)。陸自側の説明が正しければ、稲田氏は国会で虚偽答弁を行ったことになる。

逃げれば逃げるほど政権へのダメージは大きくなる

 19日、稲田氏はあらためて記者団に「日報を非公表にするとか、隠蔽するということは了承したことはない」と述べ、非公表を決めたプロセスへの自身の関与を否定した(朝日新聞 7月20日)。報告を受けたことも緊急会議を行ったことも、とにかく全否定である。

 8月3日の内閣改造での交代が確実と見られていた稲田防衛相だが、政府・与党側からも更迭を求める意見が出はじめている。とある与党幹部は「これが事実だとしたら、早く辞職するなり、罷免にしないと安倍政権が持たないな」と語ったという(TBS NEWS 7月20日)。かつて、森友学園問題で虚偽の答弁を行ったときは、「自分の記憶に基づき答弁した。虚偽の答弁をしたことはない」とよくわからない釈明をして逃げ切った稲田氏だが(産経新聞 3月14日)、今回は逃げれば逃げるほど政権へのダメージは大きくなる。

 野党側による追及の本格的な舞台は、安倍首相が出席して衆参両院で行われる予算委員会の集中審議だ(衆院は24日、参院は25日)。昨年、防衛省に情報公開請求を行って一連の報道の端緒を開いたジャーナリストの布施祐仁氏は、「自衛隊の最高指揮官である安倍首相は自ら真相解明と説明を率先してやるべきだ」と訴えている(Abema TIMES 7月20日)。加計学園問題ともども、安倍首相が「真摯に説明責任」を果たすかどうかに注目したい。