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松居一代を支える「不倫許すまじ」な女性たちと、スピリチュアリズムの関係

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

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元祖“ジャンヌ・ダルク”主婦から、“お掃除で開運”のカリスマへ

おぐら 松居一代って、1979年に『11PM』でデビューしてるんですよね? その頃をタイムリーに見ていないので、いつの間にかバラエティ番組で掃除をする人になっていたイメージなんですけど。

©iStock.com

速水 彼女は女優としてのキャリアもあるけど、それ以上に、主婦の代表として今のポジションを得ている感じじゃないかな。だから元々お高くとまったスターとかでは全然ない。ちなみに、彼女が大きく注目を集めたのは、欠陥住宅問題で、ここは結構重要な要素だと思う。

おぐら 2000年にPHP研究所から『欠陥マンション、わが闘争日記―ゼネコンに勝った! 壮絶600日の全記録』という本を出してます。

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速水 彼女のマンションで水漏れがあって、大手のデベロッパー相手に訴訟で勝利したんだよ。欠陥住宅問題で苦しんでいる人たちにとっては、彼女みたいな、いち主婦が声を上げて大企業に勝つって、ものすごく劇的な物語だった。

おぐら もうこのときから戦っていたんですね。たった一人で巨悪に立ち向かい、勝利する。みんなが大好きな物語です。

速水 その後、お掃除でさらにブレイクするんだけど、テレビのワイドショーで活躍していって、ある種、和製マーサ・スチュワートに近い存在になっていく。

おぐら アメリカの「カリスマ主婦」ですか?

アメリカの“カリスマ主婦”マーサ・スチュワート ©getty

速水 マーサは、家事全般についてのコラムとかでテレビに出たりするようになって、ベストセラー作家でもある。松居一代の場合は、おしゃれとかセンスというよりも、スピリチュアリズムの成分が高めだけど。

おぐら いや、そうなんですよ。ブログの逃亡記でも「日本人は2人しか知らない、奇跡の、パワースポット」「覚悟の、エネルギー充電しているから」と書いていたり、「お財布も人間と一緒で、きちんと休ませることでパワーアップする」という持論を展開した『松居一代の開運お財布ふとん』とか、『松居一代の開運生活』といった本を出しています。

速水 彼女のことを統合失調症じゃないかっていう声も多いけど、統合失調症の人って、自分の身の回りの片づけができなくなってゴミ屋敷になることが多いけど、彼女はその逆だからきっと違うと思います!

おぐら そもそも掃除って、スピリチュアル案件なんですよね。近藤麻理恵の大ベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』にしても、まんま魔法って言っちゃってるし、掃除をするにはまず精神の話をしないといけない。