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文春野球コラム ペナントレース2017

2017/07/25
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試合前の選手同士の挨拶

 もう何年になるでしょうか、試合開始直前に本塁付近で両軍監督によるスターティングメンバーの最終確認。監督同士の後には審判員との握手があり、個人的に好きなシーンです。アマチュア野球では選手が整列して挨拶を交わし「さぁ始まるぞ!」の気分が高まりますが、プロ野球では監督が代表して行うこのセレモニーを考案した関係者に拍手を送りたいと思います。

試合直前のスタメン確認風景 ©中川充四郎

 試合前の練習中、お互いに挨拶を交わす場面をよく見かけます。高校や大学、社会人の先輩後輩や同期生、以前のチームメートなど関係は様々ですが、名鑑で知る以外の関係は本人に確かめないと分かりません。以前、渡辺久信監督(現SD)のところにロッテ・細谷圭が駆け寄って言葉をかけていました。高校の先輩後輩でもないのでその関係を渡辺監督に聞いてみました。

「細谷くんは(群馬の)太田市立商業出身で自分(前橋工)とのつながりはないけど、群馬県人はプロの選手が少ないので郷土愛みたいなものかな」とのこと。たしかに、東京や大阪、福岡などの出身選手は数多くいますので、その都度「郷土愛」を発揮していたらキリがありませんから。でも、年長者にとって挨拶を受けたら悪い気はしません。

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 ロッテ・伊東勤監督の現役時代のこと。チームの後輩・大塚光二(現東北福祉大監督)にこんな話をしていました。「お前の後輩の浜名は打席でも、全然挨拶してこないぞ。先輩の教育が悪いんじゃないか」と。ダイエー・浜名千広は東北福祉大で大塚の2学年下でした。そして次回対戦時、打席に入る浜名は「伊東さん、こんちは。それと、今まで挨拶しないでスイマセンでした」。しっかり先輩の教育が生かされていたようです。

 球界の趨勢として若い選手ほど大きな声で挨拶し、ベテランに近づくとだんだん声のトーンも下がってきます。なので、ファームに取材に行くと一軍選手との違いが歴然です。しかし、ベテランになっても遠い距離から大きな声で挨拶してくれるのが楽天・松井稼頭央です。何か声が聞こえてくるな、と思いながら周囲を見回すと松井の視線が自分に向いているのです。これは気分がイイものです。現在は対戦相手チームですが、打席に入った時「打てよ!」と思うのは人情ですよね。

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