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連載THIS WEEK

森岡 英樹
2016/06/23

EU離脱投票直前
伝説の男ソロスが帰ってきた

source : 週刊文春 2016年6月30日号

genre : ニュース, 経済, 国際

2つに割れたイギリス国民
Photo:Kyodo

 イギリスが欧州連合(EU)から離脱するか、それとも残留かを決める国民投票が6月23日に実施される。投票の大勢が判明する翌24日は「魔の金曜日」となりかねないとトレーダーたちは身構えている。

 世論調査では離脱派優位と見られていたものの、16日にEU残留派のジョー・コックス下院議員の銃殺事件が発生。残留派が盛り返しているが、その分、離脱となればネガティブ・サプライズとなり、市場は大荒れになりかねない。

「そうなれば、日本経済は大混乱する。1ドル100円を割る円高が進み、日経平均株価も1万5000円割れは必至。そうなれば、アベノミクスは元の木阿弥になる。参院選にも当然、影響するでしょう」(大手生保幹部)

 そんな今年最大のマーケットイベントを前に、あの男が帰ってきた。「イングランド銀行を負かした男」ジョージ・ソロス氏(85)である。ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、ソロス氏は、リスク資産の大幅な下落を見込んだポジションを組んでいるという。

 ソロス氏のファンドが得意とするのは、「グローバルマクロ」と「イベントドリブン」と呼ばれる「破局の局面」を利用した裁定取引である。その対象は、通貨から債券、株式、デリバティブ、コモディティ(実物資産)に及ぶ。

 そして、今年1~3月にかけて新たに保有したのが、現物の金を証券化した上場投資信託(ETF)のコールオプション(買う権利)だ。

「ニューヨーク証券取引所に上場する世界最大のドル建て金ETF『SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア』の派生商品を大量購入している」(外資系証券会社幹部)

 その狙いは何か。

「世界の金融市場が混乱すると見ているのでしょう。そうなれば、究極の安全資産と言われる金価格は高騰する可能性が高い」(同前)

 さらに、日本を筆頭に世界の中央銀行は金融緩和を続けている。

「通貨に対する信認が下がっている。通貨暴落の可能性も考え、金に張っているのかもしれない」(同前)

 かつてはポンド売りで約10億ドルを儲けたといわれるソロス氏。今回の収支決算は?

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