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【楽天】終わり良ければすべて良し 松井裕樹の凄みとは

文春野球コラム ペナントレース2017

板東英二以上? 松井裕樹の凄さ

 7月26日現在43試合に投げ、3勝1敗4ホールド29セーブ、防御率0.20とパ・リーグのクローザーをみてもソフトバンクのサファテと共に抜けている。しかし一番大切な事はチームを勝たせる事、つまり点をやらない、打たれない事が大事。その点で見れば被打率、自責点、防御率ともにサファテを上回る松井投手こそが現在球界No.1と言ってもいいかもしれない。

 そもそもクローザーの素質は高校時代を見ても明らかだった。皆さんは間もなく始まる夏の選手権大会の奪三振記録を誰が持っているか知っていますか? そう、実は松井裕樹……ではなく板東英二さん(83個)なんです。そして2位がハンカチ王子こと斎藤佑樹投手(78個)、ちなみに斎藤投手に記録を抜かれそうになった板東さんは冷や汗をふくのにハンカチを使っていたらしい。そんなことは置いといて、3位が松井裕樹投手(68個)なのである。ただこれはあくまでも個数の順位、板東さんと斎藤投手はともに決勝まで投げ、さらに再試合も経験している。それに比べ松井投手は準々決勝までしか投げていないので比べにくい。そこで9回で平均していくつ三振をとったかを示す「奪三振率」で三人を比較したのだが松井投手の凄さが際立っていた。

板東英二 12.05
斎藤佑樹 10.17
松井裕樹 17.00

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 ちょっと一人だけ次元がちがう。あの松坂大輔投手や田中将大投手なんかと比べてもその数字はダントツであった。

松井裕樹とのツーショット ©かみじょうたけし

 ルーキーイヤーは先発でプロの洗礼もあびたが、高卒とは思えないピッチングもあり4勝。2年目、3年目とクローザーで2年連続の30セーブ以上はもちろん球団初! そして今シーズンここまで29セーブしており、球界最年少通算100セーブまで、あと8つと迫っている!

「終わり良ければすべて良し」

 今シーズンの最後にファンの皆さんと分かち合いたいセリフである。しかし一人の若き左腕が計り知れないプレッシャーと戦い続ける中で紡ぎ続けてくれている事は噛みしめなければいけない。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3540でHITボタンを押してください。

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