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岡田奈々の映画
21年ぶり主演作『恋』が静かにヒット

source : 週刊文春 2016年4月21日号

genre : エンタメ, 芸能, 映画

美貌は衰えず

 邦画界に珍事が起きている。

 4月2日、新宿の小さな映画館で行われた映画『恋』の舞台挨拶。壇上には主演を務めた70年代のアイドル・岡田奈々(57)の顔があった。

 映画記者が話す。

「同姓同名の子がAKB48にいますが、中高年にとって“奈々ちゃん”といえばこちらです(笑)。久しぶりに見る岡田は年齢を感じさせず、清潔感のある雰囲気は昔と変わらないままでした。映画は不器用な大人の切ない恋を描いたもの。岡田は挨拶で『どこか自分に似ていると思いました』と未だに独身の自分を被せて笑いを誘っていた」

 岡田の芸能人生は決して平坦なものではなかった。

「16歳で歌手デビューし、ポッキーのCMなどでも人気を博しました。女子大1年の時には、自宅マンションで暴漢に襲われ数時間監禁されて手傷を負うという、未だ解決されていない事件にあった。ただ、すぐに復帰し、20歳の時には女優一本に転身、『戦国自衛隊』など角川映画によく出演していました。

 近年は年に1回程度、ドラマの脇役で見るぐらいでした」(ベテラン芸能記者)

 そんな岡田にとって『恋』は実に21年ぶりとなる主演映画だった。

「『恋』は山口県下松市の市制施行75周年記念として町興しの一環として製作された作品。製作の指揮を執ったのは市長で、地場産業の鉄道工場や多くの地元の人もエキストラとして協力しています。監督も地元の徳山大学教授でもあり、“映像美の旗手”と言われる長澤雅彦氏。監督は岡田を以前、映画に起用した縁があり、“透明感あふれる演技”を買って自ら指名したそうです」(映画関係者)

 映画は意外な形でヒットしていった。

「地元の映画館で一昨年の11月から、1日1回だけの上映なのに2週間で3000人以上を集客し、後に神戸元町のミニシアターでも上映。いい映画だと徐々に口コミで広がり、密かに話題になっていた。見たくても見られない人の為にDVDを発売しましたが、売り切れ状態が続き、東京での公開に繋がったのです」(在阪映画記者)

『恋』のキャッチコピーは、〈遠くを見つめ続けるあなたに わたしは再び、恋をしました〉。往年の岡田ファンの気持ちそのものかもしれない。