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AIを通して“人間”を考える

『人工知能は人間を超えるか』 (松尾豊 著)

2016/07/20
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人工知能に関するホットなトピックが続いている。コンピューターの囲碁プログラムがプロ棋士に勝利したことも記憶に新しい。このままではいつか人間が人工知能に支配される……そんな警鐘を鳴らす論者も多い。本書は新進気鋭の人工知能研究者である著者が、そうしたある種の過大評価的な論調に対し、人工知能には何ができて何ができないのか、そこにどのような未来の希望があるのか、冷静な目線で語った1冊だ。

「今の人工知能ブームは第3次ブームなんですが、以前の2度のブームは、去った直後、研究に冬の時代が訪れました。著者はこの分野にこそ日本社会の未来があると確信しています。だからこそ、『第3次ブームをただのブームで終わらせてはいけない』という強い気持ちがあり、本書を執筆されたんです」(現担当編集者の田中怜子さん)

 そうした思いは専門家筋に確かに響き、情報・通信分野に関する社会的貢献を評価する大川出版賞を受賞するなど、玄人筋からの高い評価が続いた。現在ではそこから一般の読者層へと浸透し始めているという。

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「ビジネスの未来を考えるべき立場にある方はもちろん、今、まさに進路を考える立場にある若い学生の方にも、ぜひ手にとって、ご自分の将来を考える助けにしていただけたらと願っています」(田中さん)

 より具体的な未来予測に重点をおいた第2弾書籍の刊行も準備中とのこと。

2015年3月発売。初版4500部。現在14刷7万5000部

AIを通して“人間”を考える

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