文春オンライン
夏休みの宿題で人生が決まる?#11 池田浩明の場合

夏休みの宿題で人生が決まる?#11 池田浩明の場合

2017/08/16

 夏休みのうきうきした気分を一瞬で沈めるのが大量の「宿題」。「宿題はさっさと済ませる」「最後の数日で片付ける」「やらない」と、取り組み方、進め方は様々ですが、大人になってからの仕事のスタイルとほぼ一致する、という説があります。そこで今回「夏休みの宿題」をテーマに文春オンラインの筆者にアンケートをとり、現在の仕事との類似や当時の思い出を伺いました。

◆◆◆

【アンケート項目】

ADVERTISEMENT

1.夏休みの宿題の終わらせ方と仕事の進め方が類似していますか? ○△×でお答えください。

2.夏休みの宿題の終わらせ方は、次の5パターンのうちどれに当てはまりますか?

 また、現在の仕事の進め方や行動パターンとの類似点、思い出に残っている夏休みの宿題・自由研究もお聞かせください。

(1)先行逃げ切り型(7月中にすべての宿題を終わらせる)
(2)コツコツ積み立て型(ペースを守ってムラなく計画的に終わらせる)
(3)まくり型(夏休みの最後になって大慌てで取り組む)
(4)不提出型
(5)その他(他人任せ、嫌いなものは後回しなど)

―――――――――

回答者:池田浩明
10分で終えた自由研究「唾液の研究」

1.○

2.(3)まくり型(夏休みの最後になって大慌てで取り組む)か、(4)不提出型

「文春オンライン」という真っ先に取り組むべき宿題さえ滞っている私だから、夏休みの宿題もほめられたものではない。

 ある年も、夏休み終盤を迎え、追いつめられていた。ほとんどの宿題は数日あればできるが、自由研究はむずかしい。テーマを思いついたとしても容易にはできないものばかりだ。観察日記系は夏休みのはじめからこつこつやる必要があるし、植物採集も家の近所で40種50種は無理だろう。

 私は悩みながら、でもなにもせずいたずらに時間を浪費するばかり。ところが、ある朝、朝食のあと洗面所で歯を磨いて口をゆすいだとき、自分でも驚くほどだらだらと次から次へ沸き出してくるよだれを見てひらめくものがあった。「唾液の研究」。そんなタイトルが突如降ってきたのだ。8月31日にスーパーで、100%、50%、30%、無果汁という4種類のオレンジジュースを購入。やや早めに目覚ましをセットし、就寝した。

 9月1日の朝、私は朝食代わりに100%オレンジジュースを飲んだ。そしてすぐ洗面台に行き、歯を磨いた。オレンジジュースを飲んだあと歯を磨くと大量のよだれが出る。これを50%、30%、無果汁についても繰り返し、各よだれ量を記録、「よだれの量はオレンジジュースにおける果汁の割合に比例する」という結論を得て、それを自由研究として提出した。(所要時間10分程度)

 幸いしたのは、私は当時からよだれが豊富に出る性質だったこと。いま、いつ何時でも、硬いパンでも難なく食べられるのは、このおかげである。

©文藝春秋
夏休みの宿題で人生が決まる?#11 池田浩明の場合

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー