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新浪 剛史
2017/08/22

新浪剛史の教え#12「オフタイムの使い方」

私はこう考える――新浪流・乱世を生き残るための教科書

 三菱商事、ソデックス、ローソン、サントリー……。私は社会人になってからこれまで、商社、外食、小売り、製造業と、さまざまな場所で仕事をしてきました。私がそこで何を考え、なぜ挑戦し続けることができたのか。現在までのキャリアの中から、本当に役立つエッセンスをこれからお話ししたいと思います。

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家庭では英語で会話

 私は毎日、大量の英語のレポートを読んでいます。仕事のために読まなければなりませんから、常に読むことに追われる毎日を送っています。もちろん私だって追われることはイヤです。英語のレポートを短時間でスムースに読めない自分の能力のなさをすごく感じるときもあります。でも、出張や移動時間を使いながら、大量に英語を読むことを繰り返しています。

 家庭でも家内とは英語で会話をしています。それは英語を忘れてはいけないと思うからです。ネイティブランゲージでないかぎり、常に努力は必要なのです。

 皆さんから見ると、わからないかもしれませんが、経営トップは本当に苦しい仕事です。もしかしたら、楽しいと思ったことはほとんどないと言っていいかもしれません。しかし、私が経営者以外に何ができるかと問われれば、これがなかなか答えに窮するのです。

 ときにはストレス発散のために、クラブに行くときもあります。でも、踊っていると、昔はもっとうまいはずだったと思ってしまう(笑)。20歳のときの自分を思い出すのです。当時の曲を聞いて、もう一回自分をなんとかしなければいけないと思い、衰えや焦りを感じるときもあります。でも、だからこそ、やはりもう一回、がんばろうと思うわけです。

 ストレスを発散させると、朝からがんばることができます。もう一度活力をつける。そうすると、自然ともう一回がんばろうと思うわけです。

ストレス発散のためにクラブで踊るときも ©文藝春秋/石川啓次

イライラして憂うつになるとき

 そんな仕事に追われる毎日ですから、私の就寝時間はだいたい午前2時ごろ。土日は両日ともに半日ぐらいずつ仕事をしています。書類を読んだり、本も読んだり。さらに、政府関連の仕事もしています。土日の4分の1はそのための時間に使うことになります。

 完全に休む日はほとんどありません。ですから、頭は疲れているんです。日曜の夜は、ときどき準備が足りないとイライラして憂うつになるときもあります。海外出張でスピーチしなければいけないとか、要人に会わなければいけないとか、その準備が全然できていないと思って、さらに真っ青になります(笑)。でも、そうやって自分を追い込んでいくと、いつのまにか力がわいてくるのです。家庭サービスについては家内から文句をよく言われます。これについては何も言えません(笑)。わかって結婚しているんだからと言うんですけど。

飲んでいるときは常に明るく

 私はよくスケジュール表を通年で見ます。見ながら、やりたいことを先にスケジュールに入れていくんです。今ならアウトルックで、入れられるでしょう。そうしないと、本当に大切な人とコミュニケーションできないんです。

 仕事では、夜の会合は必ず一次会、二次会があります。ときには一次会を一日に2回するときもあります。お酒との付き合い方は、「楽しく」です。ときには社員たちとも飲みます。社員と、ざっくばらんに話すのが大好きなんです。私にとっては、すごくリラックスできる時間になっています。お酒を飲んでいるときは、仕事がつらいとか、そんな話で飲むことはまったくありません。飲んでいるときは常に明るくしています。

 1人でバーに行くこともあります。自宅近くのバーで飲むんです。そこでたまたま出会った人たちや常連さんと仲良くなったりするのは本当に楽しい。こうした時間を持つことで、また新たな仕事への活力が生まれてくるのだと思います。

聞き手:國貞 文隆(ジャーナリスト)

新浪 剛史 サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長

1959年横浜市生まれ。81年三菱商事入社。91年ハーバード大学経営大学院修了(MBA取得)。95年ソデックスコーポレーション(現LEOC)代表取締役。2000年ローソンプロジェクト統括室長兼外食事業室長。02年ローソン代表取締役社長。14年よりサントリーホールディングス株式会社代表取締役社長。

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