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レジの行列で感染拡大も……なぜ日本では「ソーシャル・ディスタンス」を徹底できないのか?

これは“一般市民のせい”ではない!

2020/04/16
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 安倍首相が緊急事態宣言を出してから初の日曜日。あまりにも「ソーシャル・ディスタンス」を意識していない人が多くて、正直びっくりしました。ソーシャル・ディスタンス(あるいはソーシャル・ディスタンシング)は日本語に訳すと「社会的距離」、つまり「人との間に距離を取る」ことを言います。

 4月12日、私はやむない仕事のため、古本屋街で有名な都内の神保町に出かけました。私自身の「ステイ・ホーム(家にいろ!)」に反した行動そのものも、決してほめられたものではありませんが──日曜日だから人も少ないだろうと思い、千葉県の自宅から電車に乗り込んだのです。

マスクもせずにおしゃべりに夢中な若者たち

 確かに、いつもの日曜日に比べて、電車に乗る人は少ないと感じました。ですが、都内に近づくにつれ、乗客が増えていきました。自粛が要請されているとはいえ、日曜日でも出勤せざるを得ない人はたくさんいます。ですから、そのこと自体は問題には思いませんでした。

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 しかし、友だち同士なのでしょう、みんなでひと塊に座って、おしゃべりに夢中になっている若い人たちがいました。その中の一人は、マスクをしていません。近い距離で友だちの顔に飛沫がかかることを、あまり気にしていない様子でした。

©iStock.com

 電車が駅に着くと、降りた客がいっせいにエスカレーターに向かいます。その中で、距離を空けて並ぼうとする人は、ほとんどいませんでした。みんないつも通り連なって、我先に改札に急ぎます。通勤ラッシュ時でないにもかかわらずです。

レジに並ぶ人も“十分な間隔”を空けていなかった

 神保町は、いつもの平日と比べるともちろん少ないのですが、意外とたくさんの人が歩いていました。しかしここでも、「人との距離」をあまり意識していないのではないか、という光景をいくつか目にしました。

・交差点の歩道の前で、多くの人が距離を取ることなく、信号が変わるのを待っていた。

・100円ショップのレジに行列ができていたが、十分な間隔を空けようとする人はいなかった。

・わずかに営業していた飲食店に客が集中し、狭くて密閉した店内で距離を空けず座っていた。