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“第3の男”ケンブリッジ飛鳥が優勝した日本選手権の舞台裏

source : 週刊文春 2016年7月7日号

genre : エンタメ, スポーツ

2位と0秒01差で五輪出場内定を得たケンブリッジ
Photo:Kyodo

「陸上関係者によると、日本選手権が行われたパロマ瑞穂スタジアム(愛知県)は『風が良くない』そうで、特に『夜になると向かい風が吹く』と。それを知ってか知らずか、生中継したNHKは9秒台の可能性があるからゴールデンタイムに放送したいと希望したらしく、普通なら日本選手権は18時頃には終わるのに、あのレースは20時半ごろという遅い時間のスタートでした」(スポーツ紙デスク)

 リオ五輪出場権を賭けた陸上日本選手権男子100メートル決勝を制したのは“第3の男”ケンブリッジ飛鳥(23)だった。スタートで出遅れ、本命視されていた山縣亮太(24)と桐生祥秀(20)に先行されたものの見事な加速で2人をかわし、雨中の向かい風0.3メートルという悪条件の下、10秒16でゴールした。

 五輪担当記者がこの3人について解説する。

「山縣は練習も録画していて、それを見直しては細かく調整している真面目な男。一方の桐生は“超感覚派”。自分のレースのビデオすら最近ようやく見るようになったばかりです。勝ったケンブリッジは普段からアッケラカンとした明るいイケメン。今回のレース前も2人と対照的にニコニコしていた」

 父がジャマイカ人で2歳のときに来日して幼少期は大阪で暮らしたというケンブリッジ。小学生のときはサッカー少年で中学に入ってから陸上を始め、東京高、日大と進んだ。一皮剥けたのは、大学2年の冬に父の母国へ短期留学し、肉体改造の必要を感じて本格的にウエイトトレーニングに取り組んだからだという。

「ケンブリッジは、所属先のドームの会長がテレビカメラが回っているところで、急に『9秒台を出したら1億円』と言ったことでも注目された。やり手の会長で、ドームはスポーツ用品メーカー『アンダーアーマー』の日本総代理店でもあるのですが、去年1月、アディダスとの競合に勝って、5年50億円で巨人とユニホーム契約を結びました。ケンブリッジの優勝にもあの会社の勢いを感じますが、巨人の周辺からは、アンダーアーマーのユニホームになってから弱くなった、という声も上がっています(笑)」(前出・スポーツ紙デスク)

 変なジンクスには巻き込まれず、五輪では力を出し切って欲しい。