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【西武】“トレンディ世代”工藤公康と“ズボン”を買いに行ったあの頃

文春野球コラム ペナントレース2017【共通テーマ:高校野球】

2017/08/10

91年の優勝旅行先での気配り

 気配りで感心させられたのが、91年の豪州優勝旅行の時。工藤はこの旅行に合わせて現地の教会で結婚式を挙げました。我々取材陣は内部には入れませんでしたが、外で控えていて挙式を終えた二人を祝福しました。そして、夕食後にホテルの部屋に戻ってきたらテーブルにワインと手紙が。夫婦連名でお礼の言葉が書いてありました。奥さまのアイデアでしょうか。嬉しさでワインの味も格別だった思い出があります。

優勝後の祝勝会 この年は昭和天皇のご病気のためビールかけは自粛 ©中川充四郎

 西武からダイエー、巨人、横浜などで活躍後、現役生活の最後は渡辺久信監督が率いる西武でした。監督より2歳年長の投手なので、投手交代を告げる時「ピッチャー工藤さん」。若い解説者が年上の選手について語る時に「さん付け」はよく聞きますが、監督のこれは、とても珍しいことです。また、背番号「47」は工藤に憧れていた帆足和幸が付けていました。もちろん帆足は譲るつもりでしたが、工藤の「若い選手に気を遣わせたくない」との意見で空き番号の「55」を選択。誕生日が5月5日なので、それはそれで気に入っていたようです。

 実働29年で引退。現在はソフトバンクで指揮をとっていますが、わたしの気持ちの中では今でも「カリメロくん」なのです。

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【西武】“トレンディ世代”工藤公康と“ズボン”を買いに行ったあの頃

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