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森岡 英樹
2016/04/22

日本の政治家の名がパナマ文書にない本当の理由

source : 週刊文春 2016年4月28日号

genre : ニュース, 社会, 政治, 企業

だから世襲政治家が多い!?

“パナマ文書”が世界の政治指導者や富裕層を震撼させている。ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)の報道を受けて、アイスランド首相、スペインの産業相が早々に辞任に追い込まれた。

 タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立して資産を移していた人物として、イギリスのキャメロン首相の父やロシアのプーチン大統領の親友、中国の習近平国家主席の義理の兄などがいることが判明。現旧の国家指導者12人の関係する法人が、パナマ文書で明るみに出た。

「イギリスでは、EU離脱の是非を問う国民投票が6月23日に予定されているが、残留を呼びかけるキャメロン首相の支持率が大幅に低下した」(金融関係者)

 ただ、パナマ文書に揺れる世界各国とは対照的に、日本では、大手警備会社セコムの創業者らの名前があがった程度。政治家の名前は報じられていない。その理由を、銀行関係者が解説する。

「まず、日本の国税庁の追及はかなり厳しい。相続税の課税対象になりそうな人は、片っ端から銀行に調査依頼が届く。日本の銀行は、当局に協力的ですから、複数の銀行に資産を分散させていても、あっという間に名寄せされてしまうのです」

 理由はまだある。

「日本の政治家は、タックスヘイブンを使う必要などない。政治団体を使った資産継承が可能だからです」(元衆院議員秘書)

 キャメロン首相の場合、親の投資資産を継承するために、タックスヘイブンを使った。

「日本では、政治団体に寄付すれば、非課税になります。さらに、政治家が一つだけ指定できる資金管理団体への寄付は税金の特別控除も受けられます。安倍晋三首相は、約数億円の献金を集めていた父・晋太郎氏の政治団体を引き継いでいます」(同前)

 小泉進次郎氏も衆院選に出馬する際、進次郎氏の政治団体が、父・純一郎氏の政治団体から寄付を受けていた。

「以前より厳しくなったが、個人の政治団体への寄付の上限は年1000万円。いくつかの団体に分散させた上で、政治団体を継承させるか、子どもの政治団体に寄付すれば相続税はかかりません」(同前)

 政治家にとってのタックスヘイブンは日本だった。

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